第19話 崇拝する理由
「ふぅ~ この位になると本当に重いわね...」
「なぁポール手伝った方が良いと思うか..」
「いや、意味無いから放って置こう」
結界に異常があったから見に行ってみたら、黒龍が暴れていた。
この位なら、私一人で充分対処できるから、ついでに狩ってきたのよ。
黒龍を狩るコツは喋らせる前に狩っちゃう事。
トカゲの化け物とはいえ、喋る相手を殺すのは気が引けるのよ...
だから喋る前に殺す、それに尽きるわ!
「ポール、リチャード見ているなら手伝いなさい!」
そう言われても困る...小さな山程ある黒龍を運ぶのに人が2人加わって何の意味があるんだ!
あれを引き摺ってでも運べる事じたいが異常なんだ。
まぁ、形だけ手伝えば良いな。
「「解りました」」
ただ手を添えるだけ、手伝っているふりをするだけだ。
「ありがとう」
「「どういたしまして」」
教皇様が飛んで出てきた。
そりゃ、小さな山程ある黒龍を引き摺っていれば直ぐに気がつくよな。
「尊女様、これは一体何があったのでしょうか?」
「教皇、黒龍が暴れていたので討伐してきたのよ? 折角だから解体してドラゴンステーキに出来ないかしら...これだけあれば帝都の住民全員食べられわね」
私がマリア様を素晴らしいと思ってしまうのは、この時代には魔王が居ない...だから勇者が居ない。
私は教会の中の「勇者絶対主義派」だ。
勇者絶対主義は勇者は女神様の使いなのだから「この世で一番偉い」そういう考え方だ、そして聖女様は2番。
私が崇拝するのは偽物の聖女ではなく「物語の主人公」の様な聖女だ。
聖女様を崇拝しながらも、私はどうしても「勇者」に会いたくなる。
勇者絶対主義の中で生きて来たから仕方ないのです...だがある時ふと思いました。
もし、魔王がこの時代に存在して、マリア様が男なら、間違いなく勇者になるのではないか?
マリア様は規格外だ...恐らくこの人は、聖女だけじゃなく勇者の素質さえあるような気がする。
何しろ...伝説で勇者が苦戦した黒龍をいともたやすく倒してしまうのですから...
「それじゃ、教会でギルドに頼んで解体して貰いましょう...肉は切り分けて、そうですな帝都で無料でステーキを振舞います、ただ、素材だけはマリア様が貰って下さい」
「要らないわ、教会に寄付します」
「解りました...頂戴いたします」
教皇だって人の子です。
自分が崇拝する者に害成すなら...嫌いになるのは仕方ない事だと思いませんか?
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