第16話 構わない方が得よ!
外に飛び出した私が見た物は...怪我や疲弊した騎士や兵士だった。
多分、相当急いで旅してきたのだろう...怪我したままの行軍をしなければ此処まで酷くならない。
「エリアヒール」
「エリアヒール...さっさと立ち去りなさい!」
嫌な物を見てしまった。
彼らが身に着けている百合と剣の紋章、私の元実家ポートランド家の物だ。
正確には私が袂をわかった実家だ。
「マリア様、王国に帰ってきて貰う事は出来ませんか?」
「あそこには私の居場所は何処にもありませんでした! 帰る理由はありませんわ!」
「ですが...ロゼ様は寝たきりになり、貴方のお父様も塞ぎこんでおります! どうにか...どうにかお怒りをお鎮め下さい!」
「別に怒っては居ないわ? ただ帰りたくないだけよ? 誰が不幸になると解って帰るのでしょうか?」
「貴方は妹やお父上に愛情は無いのですか?」
「無いわ...だけど、一言言わして貰えば、この責任の多くは貴方達も含むポートランド家の問題だわ」
「何故、ポートランド家の問題と言われるのですか...」
「そうね、例えば、私が小さい頃迫害されていたのは知っている筈よ!此処にいる人の多くやその家族はね、知っていた筈よ!その時体を張って守ってくれたら私は感謝したわ...最後に私がお父様にオルゴールを取り上げられる事になった時にもし庇ってくれたら私はその人には一生感謝したに違いないわ...だけど、貴方達はただ見ていただけだわ!」
「仕えている主に我々は逆らう訳にはいかないのです」
「そう? それでも騎士なんだ!お人形さんの間違いじゃないかな? 正しい事の判断も出来ないんだから人形よね!」
「騎士を愚弄するのは辞めて頂きたい...」
「それは阻止できなかったのね...まぁ良いわよ! 「だけど私が学園に通えなかったのは?」貴族の娘なら絶対に通える筈よね! それすら貴方達は具申しなかったわ!」
「その事は謝りたい...私達には意見を言う勇気が無かった...それは認めよう!」
「だったら今更じゃないの? 更に言わせて貰えれば、ロゼを駄目な子にしたのはポートランド家よ! 私じゃ無くロゼがああなったのは皆が甘やかしたからだわ」
「そんな訳は無い...ロゼ様が寝たきりになったのは間違いなく貴女のせいだ、責任逃れだ!」
「私はロゼが欲しがった物を2つあげただけ...批難されても困るわよ!そう寝たきりになったの? それこそが甘やかして育てた証拠だわ!」
「そのせいで、ロゼ様の人生は終わってしまった...あそこ迄する事は無かった筈だ」
「そこが勘違いなのよ..良い?あの子と私の父親は同じでポートマン公爵だわ! だから、甘やかして育てなければ、私程じゃないけどそれなりに魔力量は増やせたのよ...それこそ、毎日魔力が枯渇するほどの魔法を1年毎日使い続ける、それだけで多分3倍位にはなった筈だった...そうすれば結界を張りながら、常人の生活は送れるわ...まさか...ポートランド家の娘で学園に通っていたのに魔力量が並以下だなんて誰が思うの? そこ迄酷いなんて私も思わないわよ!」
「言いたい事は解った、だが、我々は貴方を国に連れて帰らないといけない」
「あのさぁ...連れ帰ったらポートランド家は終わるけど良いの?」
「なっ!」
「そうじゃない? もし私が聖女に戻るなら、私は国王にポートランド家のとり潰しを願うわよ? そうしたら終わりだと思わない!」
「そんな...」
「そんなじゃないわ! 私はポートランド家が大嫌いなのよ! だけど、何もするつもりは無い!だから構わない方が得よ! 私を国に連れ帰ったらポートランドの歴史は終わる...最もその前に私は本気で暴れるわよ!」
「本気ですか?」
「今の私はもう王国の国民でも無い...帝国に籍を置いている...貴方達と戦うのに一切躊躇は無いわ」
「待って下さいな尊女様!」
「教皇!」
「様子を見ていましたが、マリア様は既に帝国民ですぞ! そして私と帝王ルドルフ三世が、正式に「尊女」とさせて頂きました、揉めるならポートランド家やその家臣は教会を敵に回しますよ!」
「それは可笑しい...ロゼ様は聖女の筈です!」
「ほう!禄に治療も出来ない人間が聖女ですか? 王国には利益はあるかも知れないが、世界でみたら役にたってない様に見えますが...まぁ良いですが「尊女」の地位は「聖女」より上とさせて頂いております...「尊女様」と揉めるなら教会が敵になるそう思って頂いて構いませんよ!」
「待って下さい!」
「帝都警備団のマーケルだ! 今、帝王ルドルフ様の元今後、ポートランド家は帝国への入国は認めない事になった!このまま居るなら牢屋送りになる、さっさと立ち去れ」
ポートランド家の者は最早立ち去るしか無かった。
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