第14話 ロゼ 涙

ようやく寝たきり生活にも慣れたわ。


こんな生活でもそれなりに楽しみもあるのよ。


ベッドから、外の景色を眺めて一日過ごす事も多いわね。


何か楽しめないか考えて、窓に台をつけて貰ったの。


ここにパンくずを置くと小鳥が来て和むのよ。


本も読めるし..不味いポーションを水代わりに飲んでいる以外はそう悪くは無いわ。


此処は高い場所にある部屋だから窓の外には死霊が居ない


相変わらず死霊は居るけどベッドまでは乗って来ないから窓側を向いていれば見ないで済むし。



だけど、最近は少しだけど、死霊とも向き合う事にしたのよ...だってこの人達は私が「本当の聖女」なら救ってあげれる人なんだから。


「ごめんなさい」 ずうっとは出来ないけど偶に謝る事にしたの...


何も状況は変わらず、助けを求める声はやまないけど仕方ないわ..私が悪いんだから。


悪いと思って話を聞いてみたけど...魔力が無い私じゃ駄目。


ターンアンデットはおろか、ディスカッションアンデットも出来ない私じゃ「助けて」とか「苦しい」しか聞き取れない。


だから「ごめんなさい」しか言えない。



だけど、私は......


それでも...人生の勝者だわ。


王太子ではなく王子になっちゃったけど、大好きなフリード様は私の物。


両親にも愛されて...欲しい物は全部私の物になっている。


公爵家の血筋に、王城暮らし...


そして、女神の御使いの「聖女」の地位。


そう考えたら結局私は幸せなのよ!



そう、私は全てを手に入れたのよ! 


落ち込む事なんて無いわ!



私は女神の御使いの「聖女」結界位張ってあげないとね...



ぐすぐすっ..うぇぇぇぇっんぐすぐすっ..私は決して惨めじゃない...


一度泣き始めたら涙が止まらなくなった。


ポロポロの涙は止まる事なく流れる!



ロゼは知っていた。


確かにそれは全部「ロゼ」の物だ。


だが...人間なら誰もが一番欲しい「自由」が無い。



貧民でさえ持っている「綺麗な景色を見て、好きな場所に出掛ける」


それが自分には無い事を...認めたくは無かった。



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