第2話 賭けに負けたから聖女になったのよ!


ようやく、ようやく大嫌いな「聖女の地位」と別れられたわ。


私からフリードの婚約者の地位を奪うなんてね、本当に有難う、ロゼ貴方には本当に感謝しか無いわ、本当よ!


私を聖女から解放してくれたんだから本当に感謝しているわよ。


しかし、ロゼは本当に馬鹿だわ、私の何処が羨ましかったのかな。



私は「聖女」になんてなりたくなかったわ。


だけど、家を出た私は「魔力が大きい」だけのただの女、お世話になっていた王妃様から逃げるすべは殆どない。


その道しか無かったのよ。


どんなに嫌でも「聖女」からは逃げれない、半分諦めかけていたわ。


だが、聖女になるに辺り、この国では「聖女になるならばどんな願いも一つ叶える」そういう決まりがあったの。


だから、此処で私は考えたのよ、「絶対に叶えられない願い」は何かってね。


無茶であれば無茶である程良い。


「聖女」は子供を作る事は出来ない、逆に「王太子」は絶対に王家の為に世継ぎが必要。


ならば、私が「王太子」が欲しいと言えば、王家は断るかも知れない。


普通なら絶対に受け入れられない王太子との結婚を条件にしたのよ。


これなら、流石に無理でしょう? これなら逃げられるそう思ったのに...


嘘でしょう?...まさか受け入れられると思わなかったわ。



だって「処女」でなければ聖女じゃなくなるから、跡取りが居なくなると困る王太子との結婚なら「聖女」にならないですむと思ったのよ...


結果は、まさか、そこまでして聖女が欲しかったの。


王家の体面も考えずに、まさか王太子まで差し出すとは思わなかった。


王家の跡取りと「後継ぎは絶対に作れない聖女」の婚姻普通は受ける筈は無い。



そうか、他にも王子が居るから、そう言う事か。


王太子を聖女に差し出しても「第二王子が居るから関係ない」そういう事ね。


フリード王太子には悪い事したわ、王子の立場が入れ替わってしまった。


恐らく、これでフリードは王太子から廃太子、普通の王子になる。


しかも、子供を作れないから「1世代のみの王子」になることになるわ。



まぁ解ったら、フリード王太子は怒るかも知れないわ...確かに凄く悪いとは思うけど...


もう、この国から居なくなる私にはもう関係ないわ。



大体、「聖女」なんて商業は最強の貧乏くじなのよ! 決して皆が考えている様な良い職種(ジョブ)じゃ無いわ。



確かに「聖女」になればまるで女神のように皆は崇めるし、色々な方が傅くわね。


王や教皇とも対等に話せる、ある意味女性として頂点にたった、そう見えるでしょうね。


だけど、その代わりに払う犠牲がどれ程の物か解らないのよ...


結婚に出産、女性としてなら普通に持っている幸せな権利を捨てる、それは当たり前。


そして、その後の人生は、本当にこの世の地獄だわ...



多分、これからその地獄の中でロゼは生きる事になるのよ。


私はそんな人生はごめんだわ...



だからね、ロゼ、自由をくれてありがとう...


地獄から解き放ってくれてありがとう...



本当に感謝しかない。


だけど、実家の父も母も悲しむと思うわ。


嫌われている、私でなく、大好きなロゼが「聖女」になったと知ったら...



きっと、お父様もお義母様も悲しむ...だけど、貴方が選んだからね。


この国を去っていく私にはもう関係ないわ


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