ドッペルゲンガーって、知ってるかい?

佐々木 凛

第1話

「ドッペルゲンガーって、知ってるかい?」


 僕が友達から怖い話をするように言われると、いつもこの決まり文句から始まることになる。

 ドッペルゲンガーとは、自分とそっくりな顔をした人間のことで、世界に三人存在すると言われている。

 そして、ドッペルゲンガー同士が対面すると、その人は死んでしまうという、恐ろしい結末が待っている。


 そんなドッペルゲンガーだが、実は僕のドッペルゲンガーはすでにニ度目撃されている。それも、どちらも学生時代の修学旅行の時に、似たシチュエーションで。


 一度目の目撃情報は、中学生の修学旅行の時だった。二泊三日の沖縄旅。友達との旅行にテンションの上がっていた僕は、夜中々寝付けなかった。そのせいで、二日目の朝に少し寝坊し、朝食会場に遅れて姿を現した。

 案の定、学年一怖いで有名な先生が話しかけてくる。だが、どうやら寝坊のことではないらしい。

「昨日の深夜、エレベーターに乗って何処に行ったんだ?」


 二度目の目撃情報は、高校の修学旅行でグアムに行った時のことだ。初めての海外だったためか、僕は食べ物が合わずにお腹を壊してしまった。せっかくの旅行が、丸一日潰れてホテルに居た。

 そんなツイてない一日が明け、体調も回復した次の日、珍しくクラスの女の子から話しかけられた。

「昨日、なんで女子の方にいたの?」

 高校生ということもあって、男女が泊まる部屋は男子が北館、女子が南館に別れていた。

 それなのに、なぜか深夜の南館のエレベーターで僕が目撃されたのだ。


 この話を振り返ってみると、更に怖いことに気づく。最初に目撃された僕はエレベーターに乗って一階に向かい、二度目に目撃された僕は上の階に向かう。

 そう、ドッペルゲンガーは僕に近づいてきているのだ。間も無く僕たちは出会うかもしれない。そうなれば、恐ろしい結末も見えてくる。



 以上が、僕が深夜徘徊をして出来上がった鉄板怪談だ。

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ドッペルゲンガーって、知ってるかい? 佐々木 凛 @Rin_sasaki

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