学生トーク「深夜の散歩で起きた出来事編」

山田 武

学生トーク「深夜の散歩で起きた出来事編」



「深夜の散歩で起きた出来事……あれは、そうある暑い日の夜のことだ」


「──そんな教科書丸読みで言われてもな」


 今日も今日とて、突拍子も無い話題を語りだす友人に溜め息を吐く少年。

 今回の友人は、なぜか国語の教科書を見ながら話をし出した。


「第一、やったことあるのか? 深夜に散歩とかって」


「…………無い」


「そりゃあドラマとかラノベとか、そういうのだと夜にいろいろとやっていることってあるけど……学生の内から、わざわざそういう時間に出ることって普通無いだろう」


「まあ、たしかに……」


 彼らは至って真面目な学生だ。

 たとえ深夜に夜更かしをして、深夜帯のアニメを観ていようと……それでも、外出をするほどではない善良な者たちだった。


「というか、実際深夜に外出するなんて大人でもしたことがないってヤツが多いんじゃないか? というか、未成年は……ほら、だいたい補導の対象だし」


「いろいろとあるんだろうな……」


 スマホの検索結果を見て、少々言葉を濁す二人。

 ただ興味本位で外に出ている、そういった理由ではない者も居るからだろう。


「じゃあさ、もし俺たちが深夜に散歩するとして何が目的なんだ?」


「……コンビニとかか? けど、コンビニはコンビニで行く目的が思いつかん」


「俺ら、学生だもんな。わざわざ夕食も食べておいて、夜中に飯が食いたいって……言うほどでもないし。かといって、何かしたいことがあるわけでもないと」


「全然深夜に求めるものがないんだよな。むしろ、遊びに行きたい場所なんてのはだいたい夜の八時か九時ぐらいには閉店になっていそうだな。まっ、大人になったらそういう時間に行くかもしれないけどな」


「……それもそうだな」


 ポチポチと営業時間について少年は調べると、大半の店がそういった時間帯だった。

 決まりやら利益の観点から、夜遅くまで営業を行わない店もまた存在する。


 少年たちが好む店は、二十四時間を売りとするコンビニとは違っていた。

 ──彼らが逆に、夜こそ営業の時間と言える店に通うかは……まだ先の話である。


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