短編集

AGE

第1話 蛍光メダカ

 遺伝子組み換え技術が発達した時代。ある日、筑波大学から盗まれた蛍光色のメダカたちは、研究所の収容施設から逃げ出した。自由を手に入れた彼らは、下水道を泳ぎながら海へ向かう。だが、彼らを待ち受けていたのは、それまで見たこともない大きな魚だった。


「何者だ、おまえたちは?」魚が言った。


「私たちは、ただのメダカです。」と答えたメダカたちは、懸命に泳ぎ続けた。しかし、その瞬間、魚は彼らを飲み込んでしまった。


 ところが、何日か後、彼らを食べた魚が不思議な変化を遂げた。体の中で彼らの蛍光色が生物濃縮されたのだ。そして、その魚を食べた人間たちは、次々と発光するようになった。その輝きは不気味で、周囲の人々は怯えた表情を浮かべていた。


 しかし、彼らが知らなかったのは、メダカたちが監禁され、カラスの刺身で餌付けされていたことだった。彼らはこの発光現象がメダカを食べたことによるものだと知り、パニックに陥った。


「どうしてこんなことになったんだ!?」と、彼らは叫びながら、病院や専門家に相談した。だが、誰も彼らの体がなぜ光るのかを解明することができなかった。


 その後、彼らは次々と子どもを産み、その子どもたちもまた光るようになった。奇形の子どもたちはカラスのように喉が裂けるようにしか泣けなかった。街には、夜になると産屋にポロニウムのようにぼんやりとした光が浮かび上がり、人々はますます恐怖を感じた。


 彼らは、自分たちがこの現象の原因であることを自覚し、苦悩する日々を送っていた。だが、どうにもならない現実に彼らは絶望し、孤独を感じた。


 そんな彼らを見つめる人々は、彼らを異常者として忌避し、街中から追い出そうとする動きもあった。だが、彼らはただ、自然の摂理に従って生まれた存在であり、自分たちの運命から逃れることはできなかった。

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短編集 AGE @MadRaccoon-dog

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