第16話 エピローグ
ゴルダは怪我が治るとまたレストランに復帰して私も食堂で働いた。攻略対象達をチラチラと学園で見かけたが私は今は何も感じなかった。ヒロインのティナは王子と仲良くなり悪役令嬢のレイラはすっぱり諦め今では私に愚痴を言ってくる。
「よく考えましたらあんな浮気者の王子などこちらからお断りですわ!婚約破棄も済ませましたし私は次の恋に走りますの!」
と意気込んで私は
「レイラ様なら相応しい方が現れるかと思いますわ!ほらカール・フォン・ヴァーグナー公爵令息様とかどうでしょうか?」
と私は攻略対象の一人クールで孤高なイケメン公爵令息を紹介してみた。直接の知り合いではないけど。
「カール様ってあの…何者も寄せ付けない氷の狼という噂の?」
と怯えたので前世攻略済みの私は
「ええ?話してみたら単に人との接し方がわからないとかいうやつですよ!ふふ!」
とアドバイスしてやるとレイラは
「ふーん。よくわかるわね。あんた経験豊富なの?」
と言われる。
「私には愛する夫がいますので。昔はどうかしてました…。レイラ様もお綺麗なのですから出逢いは一つではないかもしれません!」
と言うとレイラは
「それはそうだけど…」
と言う。
「そうだ、その髪を真っ直ぐにして印象を変えてみたら気分も変わるかもしれませんよ?」
と言ってみる。クルクルのいかにもな髪型は威圧しかないし、イメチェンは気分的にもスッキリするだろう。
「…髪…。今まであまり考えたことなかったわね。そう言えば。いつもこれって決めてたけど…そうね。変えてみようかしら…」
とレイラはその次の日から髪型を変えると馬鹿みたいにモテ始めたそうだ。
偶然にもカール様と話す機会ができ、最近レイラは浮かれて食堂にカール様を連れてきた。
なんだ、上手く行ったのね。と私も嬉しがる。
メルさんは
「あんたもお人好しだね」
「へへ、そうかな?……うっ?」
と私は急に吐き気がしてゴミ入れに吐くとメルさんは
「大丈夫かい?」
とさすってくれた。
「…うーん?お腹壊したかな?」
と笑うとメルさんは
「……あんた今日帰りに医者に寄りな」
と言われた。
「それか、いい魔女んとこの家教えてやるよ」
と言われる。何で魔女の家?まぁ魔女もこの世界では薬の知識があるし、医者みたいな事も行う。
しかも医者よりは庶民派で値段も安かった。
私は食い合わせが悪かったのかその日気分は悪かった。帰りにメルさんの言う通りの所に寄ると魔女はお腹に手を当て…
「命だよ。ここにいるね」
と言われ私は驚く!
「えっ!?食い合わせが悪かったんじゃない?」
「それは知らんよ。悪阻が治ったら滋養強用のいいものを食べておきな。おめでとう!」
と祝福の種という、庭に植えたら美味しい林檎になる種を貰って帰る。
ゴルダはまだ帰ってなく吐き気もあるが夕飯を作り待ち詫びる。
しばらくするとゴルダが帰ってきた。玄関でいつもみたいにハグした。
しかしあまりキツくしないでと言うとゴルダは
「どうしたの?ドリス?あれ?何か少し顔色が!まさか病気で?」
と心配されるが首を振る。
「疲れたのかな?早く休む?」
と言うゴルダに耳元でゴニョゴニョと説明したらゴルダは私とお腹を交互に見て信じられないと言う顔をしてそして泣いた!
「うっ!うっ!俺の子だ!!とうとうできたんだな!!?ドリス嬉しい!!ありがとう!!」
と喜んでくれた。私も泣いた。
それから悪阻が治るまで少し食堂を休んでいたら何とレイラが見舞いにやってきた!
「おめでとう!あの…メルさんに聞いたわ。あんた知らせなさいよね!薄情なんだから!」
「ごめんなさい…。急にだったし」
「産まれたら直ぐ私にも見せなさいよね!また連絡なくスポンと産んでたら許さないわよ!」
と念押しされレイラはお腹を撫でる。
「いい子が産まれますよう祝福をお祈りするわ」
と言う。
「ふふっ!悪役令嬢の祝福ねぇ」
と笑うと
「は?悪役令嬢とは何よ?あんた本当に失礼な女ね!」
と怒られた。
メルさんもたまにやってきて身の回りを手伝ったりしてくれた。もちろんゴルダも優しく気を使いすくすくとお腹の子が育つ。
植えたリンゴの種も芽が出て普通の林檎の木より早く育っているらしい。
攻略対象とは幸せになれなかったけど私は私の幸せを掴み共に歩く好きな人とこれからも家族を作り生きようと思ったのだった。
転生したら髭もじゃの夫がいました。 黒月白華 @shirofukuneko
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