如月弥生、使役!(KAC2023④深夜の散歩で起きた出来事)

風鈴

如月弥生、深夜の秘め事!

 如月弥生きさらぎやよいは、帰宅した。

 自室に入ると、ベッドの上のピンクのうさぎちゃんのぬいぐるみが仁王立ちで、赤い眼を光らせて弥生を睨んだ。


 弥生は、フッと軽く口元に笑みを浮かべ、昨日来の出来事を走馬灯のように振り返った。


 ♢


 わたしはひょんなことから赤い本を手に入れた。

 その赤本の表紙には黒い線で六芒星が描かれている。

 一目見て気に入った。

 でも、ナゾな展開から、いつもの通学路の川べりに転移、そうだ、転移したのよ、アレは!

 そして家に帰り、その赤本を開いて見た。

 そこには・・。


 そこには……な文字が!!


 …な文字、なんて読めない!

 何て書いてあるの?


 私は、他よりも大きく書かれてある文字に、思わず、指を当てて文字を追った。

 その時だった。


 文字が金色に輝き、その本から消えたのだ!


 一瞬、何が起こったのか分からず、思わず声を漏らした。


「ばぶっ!」


 いや、決して幼児退行したわけではなく、私はただびっくりして、つい言葉にならない言葉を発したのだ。


『お前が我があるじか?』


 その時、私の脳内にそんな声がした。

 もっと、異国の言葉のようだったが、勝手に脳が翻訳をして意味が分かった。


「だれ?」


 私は、既に予想をしていたが、ただ反応を見るために一言、言った。


『ちっ!我の名も知らずに呼び出すとは!これはハズレだな!』


 そう聞こえたが、私は無視をした。

 その後、私は赤本を少し読み、本を開けたまま眠りについた。


 その深夜の事。


『へっへっへっへ!こんな時代もアリだよな~~、ゲハハハハッハ!』


「やっと帰って来たわね」


『何だよ、起きてたのか、小娘が!我はションベン臭い小娘は趣味じゃねーんだよ、ゲップ!』


「臭うわね、!」


『!!』


「深夜のお散歩、さぞ楽しかったんでしょうね?バブ?」


『!!バブバブ言うな!オマエ!どこまで知ってる?』


「さあね?さあ何をして来たのか、話して貰おうかしら?」


『!!言う義理はねーよ!』


「抗うのね、じゃあ、仕方ないか…月に代わってお仕置きよ!בַעַל זְבוּל‎、אחזיה מת בסוף הפרק ואחריו עולה למלוכה אחיו……」


『止めろ!止めてくれー!!わかった!わかったから!!』


 こうして、このバブから『深夜の散歩で起きた出来事』を聞き出した。


「そう!それじゃあ、お仕置きね!」

『いやいやいや、話がちげーだろ?!』


「あんな事やこんな事をして来たんでしょ?」

『いや、そこまではしてないから!』

「は?そこまで?そこまで何よ?私の心を読んだわけね?」

『いやいやいや、ちげーよ!読めるわけねーだろ!言葉のアヤってヤツだー!』


「ハッ!滅せよ!בַעַל זְבוּל‎…」

『わかったわかった!認める!認めます!我があるじは、貴女様です!』


 最初からわかってたわ、アンタの名前、指を文字に当てた、あの時に。

 バブ・・בַעַל זְבוּל‎(ばーるぜぶる)、通称ベルゼバブ、サタンよりもチカラが上だと言われた神であったモノよ。



 ♢


 私は、ピンクのうさちゃんのぬいぐるみを見つめ、命令した。


「バブ、お座り!」


 バブを封じ込めたピンクのうさちゃんのぬいぐるみは、大人しく膝を屈して、正座したのだった。



 了




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如月弥生、使役!(KAC2023④深夜の散歩で起きた出来事) 風鈴 @taru_n

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