G.R.M ~Glowing Red Medaka~

千求 麻也

G.R.M ~Glowing Red Medaka~

 春の満月が薄雲に包まれた夜。その満月は光環を放ちながら、静かに空を照らしていた。男は酒に酔っ払って深夜の散歩をしていた。川辺で赤く光るメダカを見つけ、大はしゃぎで家に戻ったが、妻には信じてもらえなかった。


 しかし数日後、深夜の散歩に出かけていた三つ子の姉妹は、父親が言っていた通りに川辺で赤く光り輝いているメダカを発見した。彼女たちはそのメダカを保護し、家に持ち帰った。母親もそれを見て、夫の話が本当であったことを知った。その赤く光るメダカは、彼女たちにとって特別なものであると感じた。


 ところがある日、カルタヘナ星人が現れた。彼らは赤く光るメダカを奪い取ろうと、エプシロン・エリダニ星系からやってきたのだった。

 三つ子の姉妹は、自分たちだけではこのメダカを守りきれないと思い『COPEO』、正式名称Cosmic Organism Protection Earth Organization(宇宙生物保護地球機構)を頼った――


 カルタヘナ星人たちがCOPEO本部を取り囲むように上空に浮遊している。


「我々は交渉するつもりはない。赤く光るメダカは我々のものだ。それを自発的に渡すか、我々が力ずくで奪うか、選択はお前たちの手にある」


 COPEO長官、欽塔子きん とうこの姿はすでにCOPEO本部の通信室『COSCOM(コズミック・コンタクト・ポイント)』の中にあった。


「我がCOPEOは宇宙の生命体を保護する使命を担っている! 赤く光るメダカを含むあらゆる宇宙生物の安全を確保するために全力を尽くすつもりだ! 貴様らが力ずくで奪おうとするならば、COPEOはそれに立ち向かうまでだ!」


「その選択は、お前たちが後悔することになるだろう」


 戦闘が開始された。


 カルタヘナ星人はCOPEOエージェントにジェノムハッキング攻撃を仕掛けてきた。これによって、先陣を切ったエージェントたちは遺伝情報を書き換えられ、感情や思考、行動や性質を操作されてしまった。

 しかし、COPEOはこのような攻撃に備えて、遺伝情報の暗号化や保護に特化した『ジェノムガード』というエージェントを育成していたのだった。ジェノムガードたちは、遺伝情報の解析や防御技術の訓練を受けており、ジェノムハッキング攻撃に対抗することができた。


 しかし、カルタヘナ星人はさらに強力な攻撃『技術的遺伝子歪曲テクノジェノム・ディストルション』を仕掛けてきた。

 これには、ジェノムガード達もなす術は無かった――


 突如として、宇宙の彼方から赤く光る巨大な鯉が現れた。そして、カルタヘナ星人に向かって話しかけた。


「この赤く光るメダカは、地球人の宝物であり、カルタヘナ星人の手に渡すことはできない」


 そう言うと、赤く光る巨大な鯉は、赤く光るメダカを自分の体内に収納した。驚くカルタヘナ星人を前に、赤く光る巨大な鯉はCOPEO本部コントロールルーム『EXCOM(エクスペディション・コズミレーション)』にいる三つ子の姉妹に話しかけた。


「私は、地球人たちが大切にしているものを守る者である。ありがとう、君たちのおかげで、この赤く光るメダカを守ることができた。そして、私は君たちの望みを叶えることができる。何か望みがあるならば話してくれ」


 三つ子の姉妹たちは、赤く光る巨大な鯉に自分たちの望みを伝えた。


「ノゾミ、カナエ、タマエ!」


 そう言って、赤く光る巨大な鯉は、空の彼方へ消え去った。


 カルタヘナ星人は、赤く光る巨大な鯉の姿が消えた後、しばらく茫然自失としていた。彼らは、自分たちの力ではどうすることもできない存在に直面したことを痛感した。

 カルタヘナ星人たちは地球人たちとの対話や共存を目指し、協力することが必要だと悟ったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

G.R.M ~Glowing Red Medaka~ 千求 麻也 @chigumaya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ