深夜は続くよどこまでも

@ns_ky_20151225

深夜は続くよどこまでも

 真夏ではないけど、昼ちょっと暑かった日の深夜。散歩にはもってこいだ。

 怪しまれないように見た目には気をつけて。きちんとし過ぎても、ラフ過ぎてもいけない。ちょっとそこのコンビニまで、と口に出さなくても姿が語ってなくちゃならない。

 深夜、と言うが、わたしは本当に真っ暗な夜は知らない。実家は奈良南部の田舎だが、それでも街灯はどこにでもあった。ましてやここは都内だ。住宅街でも必要以上に明るい。

 それはいい点でありよくない点でもある。空を見上げて見えるのは月か火星か金星か木星までだ。さびしいじゃないか。自分の立ってる地面をまわってる衛星か、せいぜいお隣さん、あとは超大型のガス惑星しか夜空にないなんて。でも、それは明るいせいで見えないだけで、本当にないんじゃない。誰からも相手にされないわたしとはちがう。

 さびしい天から地に目をやるとごみ袋が転がってた。ネズミかカラスだろう、中身がこぼれてる。最近はタヌキとかハクビシンもでる。町内の掲示板に見分け方が出てたけど、見分けてどうすんだろ? わたしだってそう。映画でいえばその他大勢。わざわざ見分けなくてもいい。

 チョコを口に放りこむ。深夜の散歩はチョコか飴でなくちゃ。ばりばり音のするせんべいやクラッカーなんてありえない。噛んだのを出さなきゃならないガムなんてもってのほか。甘くて溶けるときにちょっぴり口中の熱を取り去るチョコがベストだ。

 そのうち広めの道路に出た。標識で道の名前を見、東の方に行くことにした。矢印が一番かっこ良かったから。

 住宅街の幅の狭い道から街道のような広い道路に出たので、街灯は明るいを通り越してまぶしいくらいだった。それでもかっこいい矢印をたどっていくと、やはり東に向かうのだった。

 なんだか面白くなってきた。ならずっと東に行こう。行き着く所まで行って、そこから天に昇れば明日のお日さまになれるかもね。

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