ノクたん

夏伐

猫星

 1日目 神は天と地をつくった。暗闇がある中、神は光をつくり、昼と夜ができた。

 2日目 神は空をつくった。

 3日目 神は大地を作り海が生まれ、地に植物をはえさせた。

 4日目 神は太陽と月と星をつくった。

 5日目 神は魚と鳥をつくった。

 6日目 神は獣と家畜をつくり、人をつくった。

 7日目 神はお休みになった。


 天地創造――創世記の有名な一節である。


 地球を、正確には人類を数多の災厄が襲った。人口も文明も衰退していった。人々は悲しみに暮れていた。


 そして闇が世界を覆って七日経ったある日のこと――世界は一変していた。


 動物はそのままにこの世から『猫』が消えたのだ。ほとんどの人類はそれに気づいた時、悲しんだ。

 そして幾人かが喜んだ。


 今までの植物、鉱物、光や闇に猫が存在するようになった。猫は概念になったのだった。


 今、俺の隣には黒猫が魚をむしゃむしゃと美味そうに食べている。これは夜空から落ちてきた黒猫だ。足の白い毛が現代での『星』に見える部分だという。


 こいつにあだ名を付けた。夜を意味するノクターンからノクたんだ。

 はじめはノクターンだったんだけど、いつしかノクたんになっていた。


「おいちいでちゅか~? かわいいでちゅね~」


 猫のご機嫌を取る俺に、ノクたんは冷たい視線を浴びせる。


 現代は昔とはすべてが変わった。


 建築する時に、猫植物たちを切ることは出来ないし、暴れてけが人が続出していた事から積み木の要領で組み合わせる猫組み師という職業が生まれた。

 猫同士の仲の良さも考えなければならないので結構大変だと言う。


 猫植物の中でも樹木タイプの伸びる枝を絡み合わせて編んでいくように建物を建築していく。おかげで家の形もかなり変わった。ツリーハウスのようになったのだ。


 猫アレルギーは消えて、花粉症の種類が増えた。


 ノクたんは混乱がまだ収まらないうちに魚に惹かれて空から降ってきた。今日も魚を食べて毛づくろいでもしたら空にのぼっていくのだろう。

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ノクたん 夏伐 @brs83875an

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