殺し屋と夜半の硝煙【KAC20234】
銀鏡 怜尚
殺し屋と夜半の硝煙
ここは、マフィアやギャングやテロリストが
しかしながら、俺も殺し屋だ。やっていることは、夜の裏通りで
一張羅のインバネス・コートと
「おい、兄ちゃんよ! お
見るからに卑屈で下劣な連中だ。悪いが俺は、依頼を受けている身だ。
「先を急いでる。他を当たれ」
「あんだとぉ! お前! 誰に口聞いてると思ってんだ! この界隈じゃ有名な『ヴァイオレット・ブラッズ』だぞ!」
『ヴァイオレット・ブラッズ』と言えば、都市一帯で暗躍する比較的に大きなギャング集団だ。でも、こいつらはその末端のチンピラたちだろう。
もっとも、こいつらが誰だろうと、俺は先を急ぎたい。
しかし、無視が通用するような話の分かる相手でもない。
「シカトしてんじゃねぇよ! この
くっ、ただの
「何か言えや! ぶっ殺すぞ」
「俺は『
「あんだと!」
見た目通り短気で単細胞な
1発目は身体を屈めて紙一重で
「この俺の銃撃が効かねぇだと!?」
「俺は殺し屋だ! 死にたいか?」
そう言うと、俺も拳銃を構え応戦の姿勢を見せた。
ギャングは恐れをなしたが、銃を向けられているため逃げられない。
「命が惜しくば、黙って俺に協力しろ」
「兄貴、何でもしやす!」
さっきの勢いはどこへやら。相手が自分より強いと分かるや否や、掌を返すように態度を変えた。まぁいい。標的に逃げられないように、こんな奴らでも協力者がいた方が都合が良い。
そして、歩くこともう5分。ようやく敵のアジトに到着した。すっかり遅くなってしまった。
「遅かったじゃないのよ!?」
アジトから、ネグリジェを着た
「悪い。
「この奥に……」
そう言うと、薄汚れたキッチンとその奥にある扉の方向を指差した。
「逃げられないように窓を閉めてくれ」と俺は、ギャングに指示する。
俺は黙って、赤くて短い円筒形の
「兄貴、これは……?」見慣れないのか、ギャングは首を傾げている。
「まぁ、見てろ」
こいつの扱いには慣れている。
「俺は『
「兄貴! これを吸ったら、俺たちも……!」
「大丈夫だ、心配するな!」
すると、婦人が指差した方向から、漆黒のブツが動いた。
「標的発見!」
俺は、先ほどギャングに向けた拳銃を向けて、一気に引鉄を引く。放たれたのは銃弾ではなく、無色の液だった。
すぐに黒いブツは動きを止めた。
「婦人。もう大丈夫ですよ」
ギャングは
殺し屋と夜半の硝煙【KAC20234】 銀鏡 怜尚 @Deep-scarlet
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