第9話 二戦目のリベンジ合コンの結果 

「嘘なんて付いてない!俺は、ムーア大陸にいたし、オリハルコンだって本物だ!」


俺の口調に力がこもる。しかし、それと反比例して皆の冷たい視線が俺に降り注ぐ。


「だったら言わせてもらう。大魔王チワンを倒して世界を救った勇者はこの俺だ!世の中が合コン合コンって浮かれてる時に、俺がひたすら努力して剣の腕を磨いて倒したんだ!」


俺は必死に説明する。何故みんな信じてくれないんだと、俺は泣きそうになる。


「もう、止めろよ。見苦しいぞ!引っ込め!」

メンテが吐き捨てる様に、俺に言葉を放つ。


俺は怒りを押さえ切れずに、メンテに罵声を浴びせる。

「うるさいぞ!雑魚の回復士が!表に出ろ!俺の強さを証明してやるよ!」


俺はメンテを見下ろし睨み付ける。今にも殴りそうな勢いでだ。


「止めろ!サーク!」

マッス先輩も立ち上がり、俺を止めようとする。


「でも、俺は本当の事を言ってるのに、こんな侮辱あり得ないですよ。アイツに見せて付けてやるんですよ、俺の強さを」


「ダメだ!暴力行為は合コン規約違反だ。お前の強さは見せられるかもしれないが、二度と合コンには参加出来なくなるぞ!永久追放処分だ!いいのか?それがお前の幸せか?」


マッス先輩が悲しそうな顔をしている。永久追放処分と言う重い言葉が、俺の心にズシリと響く。俺は静かに席に座る。


チリーは横目でチラリと俺を見た後、俺に背を向ける様に身体の向きを変える。距離も離している様だ。そして、メンテの方に身体を擦り寄せる様に会話を始める。


俺はチリーには信じてもらいたいと思い、必死に話し掛ける。


「チリー、信じてくれ!俺は嘘なんて付いていない。俺が大魔王を倒して世界を救ったんだ。しかも、たった一人でだ。そんな雑魚なんて相手にしないで俺の方を見てくれ。お願いだ」


俺はチリーの肩に手を掛ける。


「離せよ!大魔王を倒したなんて、信じられる訳ないだろ!バカなのか?あんたは!」


「本当の事なんだ。俺は強いんだ。他のどんな男よりも。女の人は強い男が好きなんだろ?さぁ、そんな弱そうな回復士の男を止めて俺の所へ来いよ!」


「止めろ!気持ち悪い!ゴメン、ドーア。席変わってもらっていいかな?」


チリーは席を立ち、逆側のメンテの隣の席へと移動する。その席に座っていたドーアがチリーの座っていた席へと移動してくる。


「そ、そんな・・・・」


俺は遠くに去って行くチリーの姿を呆然と見つめる。そして、正面に座っているマッス先輩と目が合う。先輩は怒っている様でもあり、哀れむ様でもある、そんな表情で俺を見ている。


俺は、そんな先輩の気持ちを察し、気を取り直そうと考える。そして、隣に移動して来たドーアに気を奮い立たせ、話し掛ける。


「ドーアはどう思う?俺が嘘を付いていると思うの?」


俺は寂しかった。女性なら、もう誰でもいいとそんな気持ちになっていた。ドーアに相手にしてもらいたかった。


しかし、ドーアは俺の言葉に反応しない。俺を無視して逆側のメンテと話をしている。


俺は今更になり、自分のドーアに対する態度を後悔する。


それはそうだな。見た目でしか女性を評価してなかった俺が、急に手の平を返して話し掛けて来た。ドーアは頭にきているだろうなと、俺は推測する。無視されて当然だなと感じる。


俺は壁の方を向き、ひたすら葡萄ジュースをチビチビと飲んで、残りの合コンの時間を一人寂しく過ごした。


そして、今日の合コンの幕が閉じる・・・。合コンメンバーは酒場の外へと移動し、それぞれの帰路へと着こうとしていた。


チリーとメンテが仲良く二人で酒場を後にしている。俺はただそれを寂しく横目で見ていた。ダフとジマも寄り添う様に二人で帰って行く。


マッス先輩が申し訳なさそうに、俺の方に寄って来て話し掛ける。

「サーク、すまねぇ。フーコと二人で帰ろうと思うんだが、一人で帰れるか?」


「大丈夫です。一人で帰れますよ。お二人の邪魔をするような野暮な真似はしませんよ。気を使って頂きありがとうございます」


俺は無理に笑顔を作り、マッス先輩に言葉を返す。ここで逆に哀れむ様な事をされたら、俺は余計に惨めになる。


「そうか、気を付けて帰れよ」

マッス先輩はそう言うと、フーコの肩を抱きながら家路へと着いた。


俺は一人になり、誰もいない事を確認してから天を仰ぎ号泣する。

そして、次の合コンで必ず彼女を作るぞと決意する。


泣きながら俺は帰りにギルドに寄り、次の合コンの予約を取った・・・・。







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ドキドキの異世界合コン、デビュー戦 かたりべダンロー @kataribedanro

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