『加藤紅樹も歩けば未来にあたる』

「犬も歩けば棒に当たる」昔の賢人さかびとかく語りき。

 しかし、俺はえてこう言おう、

加藤かとう紅樹こうき」と。


                  ◆


 光は新緑しんりょくを照らし。葉を透かした光は柔らかになり、スーツ姿の俺に降り注ぎ。

 そう。再就職さいしゅしょく成功なのである。

 …んまあ。代用職員で期限付きだが職は得た。贅沢は言うまいて。

 よって。もう深夜の散歩での『イベント出来事』はお預けとなる。

 

「お。紅樹さんじゃん」自転車で通りかかるは制服姿のはなだちゃん。

「うっす。はよ」なんて朝の挨拶の復帰戦は彼女とか。

「おはようさんです。今日から仕事だったり?」

「ん。まあパートなんだけどさ」

「とりあえず…」なんて言う縹ちゃん。

「今までは世界に居なかったわけ?」そう問う。

「…なんとなくね。遠くに居た感じはあったよ」空に目を向けながら言う。

「そうかい。んじゃあ。こう言っときますか…」


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【KAC20234】―①『夜に歩けば他人に当たる』 小田舵木 @odakajiki

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