徘徊
冬眠
徘徊
私は、暗い夜道を歩いた。
たまに見える街頭が、異様に眩しい。
以前までと比べると足が重く、体全身を押さえつけられているかのような怠さがある。
手も口も乾燥して、かさついている。
頭がぼーっとする気もしないでもない。
たまに見かける通行人に私のことを悪く言われるが、なぜなのか見当もつかない。
これまで誠実に生きてきたため、このような経験は初めてだ。
私の服に泥が付いているだとか、みすぼらしいだとか酷いことを言うものだ。
私は、異様にも目が悪くなっていた。
きっと、私はひどく疲れているのだ。
声を出そうにも乾燥して上手く言葉にならない。
ここはどこなのか聞きたいが、皆一様に私から離れていくのだ。
若者というものはこうも不親切になったのかと思うと、嘆くものがある。
私は年寄りというには、まだ若い方だろう。
私が意識を手放したあの瞬間からおかしいのだ。
私が目を覚ますと、墓場だった。
なぜ、私がこんな場所にいなくてはならないのか分からなかった。
私の手を見ると、ぼやけて上手く視認できなかった。
とにかく歩き始めることにしたのだ。
今、
あまりにも疲労が溜まり切ったこの体でどこまで行けるのかもわからないが、ひたすらに遠くへと進んだ。
行き先は北かも南かもわからない、そんな場所だ。
今日は、ぼんやりと月が出ているのだろう。
霞む目で空を見上げる。
とうとう疲れが限界へと達したのか、私は倒れた。
あまり、力が入らなかった。
強く後ろへと倒れた私だったが、痛みなどなかった。
私は何とか手をつき立ち上がろうとしたのだが、その瞬間、ぼとりと音を立てて腕が私から離れた。
私の体には、腕が付いていなかった。
私はぼーっとする頭で残りの腕で拾い上げようとすると、またそちらも落ちた。
私は道の真ん中で倒れた。
そして無事、車に轢かれた。
徘徊 冬眠 @touminn
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