第52話 行き詰まり、解放

「これからどうすんだ?」


やはり俺たちは行き詰まっていた。

同じ目的を持った4人が集まったとはいえ解決策が見つかるとは限らない。

本当の意味で路頭に迷っていた。


4人は円になって頭を回転させ策を練る。

しかしそんなぽい事をしたからと言ってすぐ案は出るはずもなく全員が無言のまま数分の時間が流れた。



だが、三人寄れば文殊の知恵という言葉さながら、遂にまなりんが手を挙げた。


「俺作戦思いついた。めちゃめちゃ脳筋なんだけど……」


他3人はまなりんに視線を集め、顔を近づける。

まなりんは照れくさそうに続けた。


「4人もいるんだし手分けしてNPCに聞きまくったらどう?さっすがにこの街に入ったら詰みなんてことはないと思うしなにか手がかりがあるかも」

「……」

「まぁやってみるしかないか」


全員が全員これ以上なにか思いつく訳も無さそうなのでとりあえずそれを実行することになった。



ミゼラブルは見たところ正方形の街でちょうど4箇所に分けられたので早速別れてそれぞれ話を聞くことになった。

俺の担当は北東の武器屋があるエリアだ。

若い女や老人、子供までありとあらゆる人種にクリア条件を聞いていく。


「あのークリア条件って知ってますか?」


普通なら警戒するであろう俺の質問を彼らは何故かすんなりと答えてくれる。


「知ってるよ!それはね……」




「1000歩歩くんじゃ」

「採取クエスト"でんぶんはな"をクリアするんだよ!」

「武器を全て捨てて裸になるのよ」

「タウンボス"ミカエル"を撃破するらしいよ」



だがしかし、そのどれもがホントなのか嘘なのかよく分からないものばかりだった。

そしてその情報は全て内容が違く、同じことを言っている人も一人もいない。

質問をしていってこんなの意味あんのかよと嘆きたくなる程だった。


一応全てメモをとり、いつでも見返せるようにはしといた。


それを収穫と言っていいのか分からないがとにかく少しの収穫はあった。

20人くらい聞いて俺はまた集合場所へ戻った。



すると、どうやら俺が最後だったらしく既に3人が会議を始めていた。


「みんなどうだった?俺は一応20人くらい聞いて全部メモとったんだけど……」


「俺もだよ」「え!私も!」「……僕も」


全員が俺と同じように聞いた話を全てメモをとっていた。


なんだよその奇跡。全く求めてないんだよ。


謎の奇跡は置いておき、成果報告会となった。


「じゃあ全員見せてこ」


無限にはフレンド同士のみが作れるグループチャットという機能がある。

それを使って自分たちのメモを見せあった。


3人も少し癖はあるがほとんど俺と同じ書体で書いてある。

4人分ともなったら相当な数。できるだけ詳しく見るが、全部はさすがに厳しいのでサラッと流し見して違和感を探し出す。

少しでもなにか手がかりがないか見逃さずに確認する。

全員が無言のまま、数分の時が流れた。




そんな中、俺は遂に見つけたんだ。


「え……これ……」


他の3人にとって、見つけるのに時間がかかるただ一つの違和感がそこにはあった。


--続く

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コンプ厨の俺が「終わらない神ゲー」を完クリします 天かす入りおうどん @ten10_xx

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