第51話 ニックネーム、双子

朝、今日も今日とて他のゲームを差し置いて無限を開く。


「……」


なんだ?なにか聞こえる。

意識が段々ゲーム内に向かう中、微かに何者かの声が耳に届く。

この声は……


「……ということなんだ〜」


王子だ。

完全にゲーム内に意識が移ると、目の前に王子がいることが分かった。


いや、俺を挟むように背後にもう二人……


振り返るとそこには、可愛らしい美少女が2人立っていた。

一方は黒髪のロング、もう一方は白髪でショートの顔の整った2人、どうやら王子はその子たちと話していたようだ。


「あ、わんおかえり」

「何してたんだ?」

「実は……」


王子が口を開けたその時、背後から回り込み2人が王子の隣に立った。


「俺たちが説明するよ」

「兄ちゃん……」


白髪の子が話そうとするのを黒髪の子が服の裾を引き、止める。


が、そのまま黒髪の子が話を続けた。


「俺の名前は"まなりん"。こっちの黒い寡黙な方が弟の"いおっぴ"」


2人とも兄や弟、俺など使っわているが見た目は女の子そのもの。


少し違和感を感じた。

オンラインゲームらしいと言えばそうだがな。


「俺たちもお前らと同じようにミゼラブルで詰んでたんだ。誰に話を聞いても違う答えが帰ってきて正解に辿り着かなかった。その時に俺たちと同じように苦しんでたお前らを見つけたんだ」

「そう。それでわんが来る間に私が話を聞いてたってわけ」

「そういう事か。で、だ?」


正直俺は疑っていた。

こんな街に来たからか今までの経験からかは分からない。

ただ、人を信頼する事が怖くなっていた。


「ちょっとわん!失礼だよ!」

「分かってる。でも……」

「お前らの思うことも分かる。でも俺らはプレイヤーだ」

「そんなの信じられない」

「証拠がある」

「証拠?」

「フレンドになるんだ」

「確かにそれだったら証明になるかも……!」


王子は俺の返答を待つようにこっちをじっと見た。


「……分かったよ」

「やった!」


俺は仕方なく2人ともとフレンドになった。

カタナ、王子に続き3、4人目のフレンドだ。

と、言うことで彼女?らはプレイヤーだと証明された。


「でしょ?」

「それは分かった。だが目的はなんだ?」

「それはもちろん……次の街に行くことだよ」


なんか少し間があった気がしたけど……



まぁ気のせいか。


「目的も一致だね。とりあえず行こうよ」


フレンドになってから流れるようにパーティ登録をした。

今回は俺が始動で登録したのでわかった事だが、パーティに名前がつけれる。

まぁ適当でいいや。

俺はパーティ名を"わんと愉快な仲間たち"にした。








別に俺がリーダー気取ってるとかそんなんではないよ。








……3人には内緒ね。

--続く

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