深夜1時、おっさんとJKに芽生えるかもしれない友情
彼岸キョウカ
3月の夜はまだ少し寒いけど、空気がふわっとしてきて春の訪れを感じる。
深夜1時。なんだか眠れなくて、気分転換に散歩にでた。
本当はコンビニでお菓子を買いたいんだけど、補導されたら嫌だし家の周りをぐるぐる歩く。
「あ、あの……」
後ろから野太い声で呼ばれた。振り向くと太ったおじさんが黒のロングコートを羽織っている。
あー、これって、よく学校で先生から聞くやつかも……。
おっさんはおどおどした顔をぎゅっと中心に寄せて、ガバっとコートを開いた。
やっぱり中は、全裸だった。
「……っさ」
「え?」
私が思わず呟くと、おっさんが聞き返してくる。
「ちっっっさ!」
「うっ!」
私がナニをちっさいって言ったか伝わったみたいで、おっさんは慌ててコートを閉じた。
いや、それにしてもちっさいな。もうそれはただのウィンナーじゃん。BL本でしかアレは見たことないけど、みんなおっさんより最低でも2,3倍は大きいよ?
「てか、こんな所で何してんの? そのぶくぶくでぷよぷよの身体で、ヒゲもぼーぼーで清潔感もないし、そんなんで私を怖がらせられると思ってんの?」
「う、うぅ……うぐっ……」
え、嘘……なんでお前が泣くの? 普通泣くのは被害者の私でしょうが。
「はぁ、警察には言わないからとっと帰りなよ」
最悪な気分だから私も家に帰ろうっと。
おっさんに背を向けて家に帰ろうとした、その時。
「覚えてろよー!!」
おっさんは雑魚キャラみたいな捨て台詞を吐いて、どてどてと走っていった。
…………なんだそれ。
——————————
おっさんの捨て台詞が忘れられなくて、先週と同じ時間に散歩にでた。
「あ……」
先週のおっさん、今日はロングコートじゃなくてジャージだ。あんなにぼーぼーだったヒゲも剃られていて、全然違う人に見える。
「あ、あのっ、僕と友達になってください!」
おっさんはそういうとスマホを差し出した。
「……はい?」
(続く?)
深夜1時、おっさんとJKに芽生えるかもしれない友情 彼岸キョウカ @higankyouka
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