H3の夢

無限飛行

星空のH3

あるところに、夢を追いかける少年がいました。彼は深夜の散歩が好きで、毎晩草原を歩きながら星空を眺めていました。


ある晩、彼が歩いていると、空に眩しい輝きが上がるのが見えました。それは種子島宇宙センターから上がるH3ロケットの発射でした。少年は興奮し、ロケットの軌道を追いかけて駆け出しました。


しかし、そのロケットは忽然と姿を消し、宇宙空間に旅立ってしまいました。


そこで、はっと気がつく少年。

どうやら少年は歩きながら夢を見ていたようです。


実は少年は、日本のロケットの大ファンで、前日に発射されたH3の打ち上げ失敗に、涙を流して悔しがっていたのです。


少年は落ち込みましたが、すぐに立ち上がりました。彼は夢を諦めず、次こそは成功すると信じて神に祈りました。


「神様、どうか僕のお願いを聞いて下さい」




そして、数年後。彼はH4ロケットの打ち上げに関わることができました。

H4は老朽化したH3の後継機で、有人宇宙船を打ち上げる為の初号機です。


そして彼は大きな役割を果たし、見事にロケットを打ち上げることができました。


少年は、幼い頃の夢を叶えることができました。彼は自分自身や周りの人たちを励まし、次こそは成功すると信じている人たちに希望を与え続けていたのです。


また、彼に応え、彼を信じた人々は夜空を見上げ、達成感とともに、H4が軌道に上げた新型人工衛星「だいち10号」の追尾観測に入ります。


「だいち10号」(ALOS-10)は、H3初号機打ち上げ失敗で失った「だいち3号」(ALOS-3)の 改良型で従来コストの半分以下で仕上げつつも、「だいち3号」の機能、高分解能と広視野をさらに高機能にさせた光学衛星。全地球規模の陸域を継続的に 密度の濃い観測をし、地震予測の蓄積に繋げます。


夢を叶えた少年は今は青年となり、その隣には結婚を誓ったそれは美しい婚約者がおりました。


青年は婚約者に誓いました。


自分達の子供の時代には、必ずH4で火星に日本人を送りたいと。


宇宙の夢は留まることはない様です。


彼は青年になっても、その心は少年のまま走り続けておりました。



宇宙の夢は永遠に。

どうか、国産ロケットでの有人宇宙船打ち上げの夢を灯し続けていきたいですね。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

H3の夢 無限飛行 @mugenhikou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ