KAC2023 とある深夜の猫の集会

るしあん @猫部

集会所に向かう猫の後を追いて行っては、いけない !

 KAC20234 「深夜の散歩で起きた出来事」



 ネタが浮かばない。


 仕事が終わり晩御飯を食べた後、趣味の小説を書こうとしたら、どうしてもネタが浮かばなかった。


 人手不足もあり、少数で厨房を切り盛りしている為にヘトヘトだけれども、趣味の小説を読むことと書くことが唯一の俺の楽しみでもある。


 酒もたしなむ程度、タバコもギャンブルも女遊びもしないのだから健康的なものだろう。


 まあ、アイディアが浮かばない時は、スマホとにらめっこしてても良いアイディアは浮かばないだろう。


 そういう時は、でもして気分転換したら、良いアイデアが浮かぶかも知れない。

 ふと、スマホの時計を見たら 12を過ぎていた。


 念のために身分証明書を持ち、アイディアが浮かんだ時にメモをする為にスマホとタッチペンを持った。


 そう、俺はスマホとタッチペンで小説を書いているのだ。


 をしていると、昼間に買い物をした本屋さんの前を通りかかった。


 あれ ? 本屋さんの看板猫のサファイアだよな。

 こんなかな……いや、きっと『猫の集会』に違いない。


 もともと、猫の集会に興味を持っていた俺は、サファイアの後を追けることにした。

 幸い、音の立ちにくい運動靴を履いているからサファイアには気付かれないで追いていける。


 サファイアに気付かれないように後を追けている間に知らなかった場所に着いた。


「こんな場所が有ったのか 」


 思わず独り言が出てしまい、サファイアに気付かれてしまった。


「やっぱり、ボクの後を追いて来ていたのは、おっちゃんだったのかぁ~

 仕方ないなぁ~、特別に見学はしても良いけど他言無用だよ。

 もちろん、小説のネタにしてもダメだよ ! 」


「猫が、サファイアがしゃべったぁー !

 やっぱり、サファイアは《ねこまた》だったのか ! 」


「違う、違う、ボクは《ねこしょう》と言って猫又ねこまたより偉いんだからね !

 それと、向こうにいる猫たちがだよ。

 今晩は、特別な夜。

 猫は猫でも猫魈ねこしょうと猫又たちとの幹部集会・猫の集会所に ようこそ、おっちゃん !

 もう一度言うけど、もダメだからね 」


 言葉も出せずに、うなずくしかなかったけど、良く見ると知っている猫が数匹いた。


 薬屋のレオナルドに美容院のイッコー、喫茶店のビヨンセまで居る。


 ……猫又、多いじゃないか !


 結局、猫たちは『ニャァ、ニャァ 』言っているだけで話している内容は解らなかったが真剣に会議しているのだけは判った。




 何をされる訳でも無く、無事に家に帰るとウチのさくらが、お出迎えしてくれた。


 そういえば、さくらがウチに来て何年経っただろうか ?


「さくら、お前はじゃ無いよな ? 」


「ニャァ~ 」


 さくらが笑ったような気がした……尻尾が二つに別れているのも気のせいだな、きっと……たぶん。



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