勇者召喚されたよー?

瑞多美音

勇者召喚されたよー?


 「うぅー。さむっ」


 ほろ酔い気分で、酒とおつまみの追加を買いに出発したのがついさっき……そこそこ遅い時間だが散歩がてら、少し遠いけど24時間営業スーパーのお気に入りの酒が置いてある店舗を目指して歩く。


 「やべー……ホッカイロ欲しいなぁ」


 寒空の下、スエットジャージにダウンだけじゃ寒かったかー。出がけにサンダルじゃなくスニーカーを履いてきた自分を褒めたいね!サンダルだったら速攻引き返したはずだ。

 あー!雪までチラチラ降りだしやがったっ!傘とか持ってきてないからな!

 はぁ、散歩とか言ってる場合じゃねぇ……酒が入ってると判断力が鈍ってこまっちまうなぁー。

 どうしようかなー……すぐそこのコンビニで済ませるべきか……しかし、明日から久しぶりの連休。好きな酒を飲みたい……


 ふらふら歩き、T字路に突き当たった。右に行くと近くのコンビニ、左に行くと24時間営業のスーパーだ。


 「どちらにしようかなー……ってか?」


 どちらに進むべきか悩んでいたら……目の前が急にペカーッと光った。


 「うわっ!」


 驚いて尻もちをついてしまったじゃないかー!雪でお尻がジメッとするでしょうがーっ……あれ?ここどこよー?あ、よかったー!お尻、濡れてないわ!せーふ!


 「ようこそ、いらっしゃいました勇者……様……ではないようですね」

 「……え?」

 「大っ変、申し訳ございませんでしたー!!」

 「「「「申し訳ございませんでしたー!!!」」」」


 え?なんか偉そうなおじさんたちが土下座しだしたんだけど……夢?あ、尻もちじゃなくて頭打ったか?

 それにしてはリアルだよな……壁や床は石でできていて、床にはどす黒い色のインクでかかれた魔方陣的なのがある……なんならその模様うっすら光ってるし。


 「あのー……」

 「はいっ!ただいま!ただちにお送りいたしますのでー!!少々、お待ちください」


 その勢いにぽかんとしていると、瞬く間に周囲が先程のように光だし……気付いたときにはさっきのT字路に突っ立っていた。


 「あ、なんか還されたっぽいわー……ま、いっか」


 はー、酒とおつまみ買いに行くつもりが異世界行っちまったぜ……滞在時間1分だけどな!

 あー、あんときに「ステータスオープン!」とか唱えとくんだったぜ。隠された自分の才能とかわかったかもしれないのに、もったいねー。やっぱ思考力鈍ってるんだなぁ……ぼけーっとしてるだけで終わったもんなぁ。


 あ、ちゃんとスーパーまで散歩したぜ!だって、コンビニより安いし種類も豊富だからな!ついでに半額シール貼ってあるおつまみもあってラッキーだった。連休中はもう買い物行かなくていいぐらい食料も買ってきた。

 ただ、帰ったときには雪に濡れ体が冷えて大変だった……さっさと濡れた服を着替えてこたつに潜り込む。本当は風呂に浸かりたかったけど、酒飲んだ後だったし念のためやめておく。


 「ふぅー……異世界より、ほろ酔いで雪の中散歩する方が危険なんじゃね?」


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勇者召喚されたよー? 瑞多美音 @mizuta_mion

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