未成年の深夜徘徊はこうなります

せにな

深夜徘徊

「やっぱ深夜の散歩は最高だなー!」


 体を伸ばしながら、公園の周りを歩く。


「ちょっと君、こんな時間に何してるの?」


 公園へと入ろうとする俺を止めた声の方を振り向くと、男性2人が並んで近寄ってくる。


「ただの、散歩、です」


 怖気付きながらも強ばる口元を動かす。

 この時には完全に思考が停止してしまっていた。

 なぜって?警察がいきなり話しかけてきたら思考が止まるのもわかるだろう?


「こんな時間に散歩?お家の人には言ったの?」

「いえ、言ってません」

「なんで?」

「寝てたからです……」


 次々とくる質問に俺が答えると、後ろにいるもう1人の警察官がメモを取り始める。


「ここから家は近いの?」

「少し、離れてます」

「どうやってきたの」

「自転車、です」

「その自転車ちょっと見せてくれるかな」

「あ、はい」


 そう答えた俺は「こっちです」と声をかけて自転車置き場まで案内する。


「これ、ですね」

「車体番号とか付けてる?」

「あ、あると思います」


 自転車を少し持ち上げ、サドルの下を警察官に向ける。

 それを確認した1人の警察官がパトカーに戻り、通信機で連絡を取り出す。


「親御さんの電話番号はわかる?」

「わか、りません。確認してもいい、ですか?」

「いいよ」


 許可を取った俺は電話帳を開き、すぐに親の電話番号を確認し、それを警察官に見せる。


「これ、です」

「ありがとね」


 警察官は電話番号をメモリながら、さらに質問を続けてくる。


「家出ではないよね?」

「違います」

「未成年だよね?」

「そうっすね……」

「2時なのに外でたらダメだよ?」

「はい……」


 パトカーに連絡をしに行った警察官が戻ってき、コソコソとなにかを伝え出す。

「そうか」と残っていた警察官が頷き、もう一度俺の方に目を向けてくる。


「最後に、学校はどこ?」

「𓏸𓏸校です……」

「今回は連絡しないけど、次はないからね?」

「はい」

「今日は早く帰りなさいよ」

「はい」


 そう言い残した警察官2人はパトカーに戻る。

 俺も自転車に股がって家へと向かう。



 アニメや小説に影響された未成年の諸君。

 深夜徘徊はやめよう。

 ほんと怖いから。

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