キラーマン
ムネミツ
第1話 キラーマン
ボーイ、起きろ? 小腹が空いた、
「……トニ~? 今何時だと思ってるんだよ?」
ハッハッハ~♪ ひとっ走り付き合えよ~♪
夜中に自分の中にいる悪魔に起こされる、最悪だ。
だけど、寝てる間に僕の体を使われるのはもっと最悪だった。
仕方なく体を起こし布団から出る。
パジャマ代わりに着ているのは緑のジャージ、これなら外に出ても平気だ。
僕の肩から出た黒い闇の触手が伸び、机の椅子に掛けていた上衣のポケットを器用に開けて財布を抜き取りジャージのポケットに入れ替える。
次に足から生えた触手が襖を開けて伸びて行き、僕のスニーカーを取って来る。
いつの間にか靴下は履いていた、スマホもズボンのポケットに入ってる。
「悪魔の癖に人の世に慣れてやがるな」
悪魔だからな♪ さあボーイ、出動だ♪
僕がスニーカーを履く。
それを合図に、体の中から真っ黒なスライムが浮き出て全身を覆う。
僕達は黒の外骨格を纏った、筋骨隆々な戦士に変身した。
和室である自室の窓を開け、僕らは家の外に出る。
戸締りは僕の体から触手を出してトニーが行なった。
夜の町を静かに無音で飛び回る、僕とトニー。
『ボ~イ♪ 事件だ、行くぞ♪』
僕はトニーに身を任せる、現場は公園だ。
「ひいっ! た、助けてくれ~っ!」
『助けに来たぞ♪』
「き、キラーマン!」
『大盛りチャーシュー麺、化け物を倒すまでに作っておけ♪』
屋台のラーメン屋さんと、黒い犬人間の間に割り込む。
トニーがラーメン屋さんに注文し、犬人間に突撃する。
僕達はジャングルジムに犬人間を叩きつける。
『雑魚が、ラーメンの前のオードブルにしてやる♪』
「いや、ちょっと待って! 俺も味覚共有してるんだけど!」
『イタダキマス♪』
僕達のマスクが大口を開けて牙を剥き、犬人間を一気に丸かじりした。
『うん、不味かった♪』
犬人間を食べて倒した僕達は、助けたラーメン屋さんに戻る。
頼んだラーメンは最高の口直しになった。
キラーマン ムネミツ @yukinosita
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