〖KAC20234〗こんな夜中に

センセイ

深夜2時

…腹が減った。


俺は無性に腹が減って、とうとう起きてしまった。


こんな夜中に…とも思ったが、最近はそこまで寒くも無い。


「散歩がてら、行くかぁ…」


…そう思っていたのに。




「きゃっ!」

「うわっ!」


女子高生とぶつかった。

それも、ただの女子高生じゃない。


「むぐ…っ」


食パンをくわえた、制服姿の女子高生だ。

そんなテンプレートの様な生物が、全然テンプレートから外れた時間にやって来た。


…そして、俺とぶつかった。


「えっと…走ったら危ないですよ、大丈夫ですか?」

「むぐぐ…っ!み、水…っ!」

「えっ?!」


どうやらパンを詰まらせてしまったらしい。

俺は急いで近くの自販機まで走って、水を一本買って走った。


「ぷはぁーっ!」

「……」


俺の手渡した水を豪快に飲む目の前の女子高生を見て、俺、なにやってんだろ…とつい思ってしまう。


「…よし、お前は生かしてやる」

「うん。……うん?」

「お前は生かしてやると言っている!」


そんなしんみりした空気でお礼でも言われるのかと思ったら、その女子高生はそんな事を言ってのけた。


「…生かしてやるって何だよ?」

「だから、我々の侵攻からお前だけ生かしてやると言ってるのだ」

「……?」


俺はそれから彼女の話を聞く羽目になった。

彼女は人間と『地球人』のハーフで、人間を滅ぼす予定らしい。


…『地球人』?


「人間は醜い。地球人は地球を汚さない」


……あぁ、あれか、環境保護団体とかか。


「じゃあ地球人って、どんな見た目なの?」


俺も暇だったので話に乗ってやって聞いてみると、彼女は、


「地球人は一度でも穢れた人間には見えない」


と彼女は言う。


「助かりたいなら、手を取れ」

「え……?」


妙に説得力のある彼女の言うままに手を取ると、大きな地震が起こった。


…俺はその時、彼女の手以外のあらゆる物と不干渉になっていた。


「人間は、欲張りすぎた」


地面は、地球の奥底に葬られた。


彼女は一体、何者なんだ。

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