第2話 出会い
そしてあの宣言から数ヶ月後…。
ついに夢にまで見たあの日がやってきた。
「やっと!!!あの地獄を抜け出したぞ!!!」
喜びのあまり足取りは軽快なスキップが止まらない。
今日は最後の出勤の日だった。
「今までお世話になりました。」
その一言だけ伝えて颯爽と定時で退社してきた。
私のやるべき事は一通りやったし、上司の連絡先も抹消したし、暫くはのんびり過ごすぞー!
そうと決まれば帰り道お菓子や飲み物を買って家でパーティだ!
…という感じでひたすらのんびりゴロゴロ過ごしていたわけですが、ずっとこの生活を続ける訳にもいかない。
「かと言って働く気にも慣れない…。」
一人暮らしのアパートの布団の上で小さく呟く。
片手にはスマホ。
【ブラックじゃなくて休みも沢山取れて給料もそこそこ良くて人間関係も良好な素晴らしい職場で働きたい🥲】
しゃべったーにそんなことを呟きながら苦悩していた。
ダメだ…家でジメジメしてても何も解決しないだろうし、すぐにすぐ貯金が無くなる訳でもないしちょっと散歩しながら気分転換をしよう。
外はお日様は暖かいが風は冷たい。
もうすぐ春だなと感じながらラフな格好で外に出る。
自分の実家まで徒歩15分。
自立するために家を出てみたものの知らない土地では生きていける気がしないので結局近場に住んでいる。
「結局実家も家も寝に帰るだけみたいな生活だったけどなぁ…」
つい思い出して深いため息をついてしまう。
だめだめ!やっと辞めたんだから前向きに!!
顔をあげると見慣れた背中が見える。
「おばあちゃん!!!」
つい大きな声で呼び止めてしまった。
本当のおばあちゃんではないが小さな頃から可愛がってもらい良く家にもお邪魔させて貰っていた。前は早朝に家を出た際よく掃除をしている所に出会い大丈夫かと心配してくれていた。
「あらあら…最近会わないと思っていたら前より元気そうねぇ…安心したわぁ」
とても優しい声でふふふと笑うおばあちゃんはとても可愛く、私の癒しである。
最近は家に引きこもっていたのでなかなか会うことがなかったので心配をかけていただろう。
せっかく会った事だし沢山心配もかけたし報告しなきゃな…。
仕事をやめたこと、今後どうしようかと悩んでいること、全ておばあちゃんに伝えた。
するとあら!あらあらと言いながら最後まで聞いて一言。
「ちょっと私のお家によっていかない??」
ふふふと可愛らしく笑いながら自宅へ招待された。
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