せっかく会社を辞めたのでギフト屋さんを初めて見た。

ほこり。

第1話 私の野望

「明日も朝7時でよろしくー。」


人の苦労も何も知らないで声をかけてくる上司。

現在時刻は22時半。


小さいと言えば小さいがそこそこ売上もあるカフェの物販コーナーの中心で佇む。


上司はここから自転車で5分の自宅で、朝も気の向いた時間に出社するからいいだろうけどこちらはここから店の戸締りをして少し遠い歩いて15分店の駐車場まで行かないといけない。


そこから帰って30分、ご飯食べたりお風呂に入ったりしたら0時を回る。


「絶対やめてやる…。」


それが私の口癖になりつつある。

このカフェでバイトから働き始めて社員になり6年。

つい先月24歳になった紫藤琴音は深いため息をつきながら働いていた。


まだ残業代が出るだけマシかもしれないと思いつつお金があっても使い時がなければ意味もないなと考える。


上司はお疲れと手をヒラヒラさせながら帰って行ったので店には1人。

バイトちゃん達は18時の定時で帰っていく。

もう少しいて欲しいという気持ちを抑えながらお疲れ様と、声をかける日々。


「もう少し私に優しくしてくれても良くないかぁーーーー。」


ついため息混じりの声を出す。

どうせ1人なのだから問題はない。

人件費削減とか言うなら皆でぱぱぱっとしてさっさと帰ってコスト削減したらいいのにとぶつぶつ呟きながら店を閉める。


だがこの我慢ももう少しだ。

もう少ししたら売上がいいので近くに姉妹店を出すらしい。

お客さんを分散してもっと売上を上げていこうという計画らしい。


そして姉妹店を出すので社員も増やすしバイトと増やすという話を聞いた。

それは私にとってはまたと無いチャンスだ。

今までは新しく社員が入ってもなかなか続かなかったり、社員希望のバイトさんを雇っても思ってたのと違うと言われ逃げられる…。


「今度こそ逃げられる前に私が辞めてやるんだ。」


力強く呟き私は帰路へついた。

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