「ぐちゃぐちゃ」空を飛ぶ

maris

第1話

わたしのお兄ちゃんは

変わり者、血液型がB型というのも

影響しているかもしれないけど



早生まれで人より、

小さかったお兄ちゃんは

とても気が弱くて

いつも泣いてばかりいたの

幼稚園に入る前には

遊びに行っていたお砂場で

知らないお友達に

持って来たオモチャを取られちゃうと

自分で返してって言えなくて、

ママに返してもらうように

頼むの。

いくら

「自分で言ってごらん!」と言われても

絶対出来なかったの。



そして、虫も大の苦手だから

砂場の中から

出てきた蟻が手に付いただけで

大騒ぎするの

ホントに呆れちゃうよ


中でも

一番の天敵は、ハチよ

針をもってるから確かに怖い、

すごい形相で逃げ回るのには

びっくりしちゃった。

じっとしてれば、大丈夫だと思うんだけど、お兄ちゃんは刺されたら『絶対に死ぬ』と思ってたみたいだからね。



幼稚園に入園してからも

そんな調子で

他の子に取られる前に

お気に入りのオモチャの車を

手に入れる為だけに

一番に幼稚園に着くように

ママにお願いしてたっけ。


その後

小学生になって

自分のことは自分でやらなきゃならない

事が増えてきたから

お兄ちゃんは

てんてこ舞いで


いつもぐちゃぐちゃなの

髪の毛もぐちゃぐちゃ

机の引き出しの中も

ランドセルの中もぐちゃぐちゃ

色々なものがぐちゃぐちゃしてた。



そんなお兄ちゃんにママが

「顔を洗ってね!」

「早く朝食食べちゃってー」

「歯磨きはしたの?」

「体温は計った?」

「ハンカチ、ティッシュ、水筒は持った?」

「マスクはしたの?」

「消毒してね」

「忘れ物はしてないよね?」

「道草してないで、真っ直ぐ帰ってくるのよ!」

とマシンガンのようにあれこれ言うから

きっと

頭の中までぐちゃぐちゃになっちゃったんだと思う。



だから、お兄ちゃんは

自分で考えて、忘れ物をしないようにと

全ての教科書を毎日持って行くことにしたよ

人より小さなお兄ちゃんは

人より重い荷物を背負ってた。



本当に要領悪いお兄ちゃんなのだ



そして変なことに潔癖症で

ポテチなどの袋菓子を人と一緒には

食べないと決めていた。

勿論回し飲みなんて、もっての他。

コロナが流行してからは

当たり前になったけどね。



そんなお兄ちゃんは

お化けとかU-MAとか何でも信じてて

サンタクロースも

六年生になった時も信じてたし、

抜けた歯を枕の下に入れておくと

妖精さんがお金に交換してくれる

なんて話も

馬鹿みたいに信じてた。

本当はみんな親がしたことなのにね。

私は三年生位で知ってたよ


そんな、お兄ちゃんが

今何をしているかと言えば


国を守る為に

戦闘機のパイロットを目指して

航空学生に入隊したの



でもそこに入ることを

周りのみんなは反対したの

だって、

のんびり屋でマイペースで

何もかもぐちゃぐちゃな

お兄ちゃんだよ?

そんなの無理に決まってるでしょ?

それでも、チャレンジしたいと

お兄ちゃんは決断したよ

でも、心配してた通り

何度も辞めたいって

親にメールや電話をかけてきた

でも、

パパは「例え、将来違う道に行くとしても、自分の決めたことだから、卒業だけはしなさい!」

と言い

ママも同じように励ました。

そして、

努力した結果、卒業出来たの。



あんなに

泣き虫、弱虫のお兄ちゃんだったのにね。

中学、高校でお兄ちゃんが

どんな経験をしたのか知らないけど、

人って変われるんだなって思った。


そして、今もなお

夢に向かって努力し続けている。


いつか大空を飛ぶ姿を

見れたらいいな。


諦めなければ、

夢も叶えられるかもしれないって

思うようになったんだ。

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