ブッコロQ
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ブッコロQ
文面たちが完全にペーパーレスになった少し遠い未来のお話です。
ありとあらゆる精密機械たちが跋扈し、ディスプレイに映る情報たちは百鬼夜行を。人々の暮らしは現代とは比較できないほどに豊かになっていました。
だからといって何もかもが効率化され、娯楽が消えたわけではありません。
無駄という価値が失われたわけではありません。
最近はこんなものが流行っています。
“R.B.ブッコロー”
ただ、お喋りをするミミズクのロボット。現代でいうファー●ーみたい。なかなかにクセのある性格で人々を魅了し続けています。
「Fふぉーりやーが負けたんや!」…話し相手にはもってこい。なぜか目がひん剥いているけれど、それも愛嬌です。脇にはその時代では珍しい本というものが挟まっていてどこか
販売元もよくわからない謎の会社ですが、口コミは上々。ネットで買えます。今の価値で3000円。りーぞなぼー!
子供達にはアイドル的存在で、子供がいる家庭には一家に一台あるといっても過言ではないでしょう。
ですが最近、少し奇妙な噂も耳にするのです。
ブッコローは夜中、人が寝静まった時間に電源が切れていても一人でに動き出すとか。侵略のために宇宙人がどっかから持ってきた兵器だとか…
内部構造もなんかよくわかんないみたいです。分解してみた人がいるそうなのですが、中身が空だった…とか開けようとしたら粉々に砕け散ったとか…そんな話もあったりなかったり。
それでもあくまで怪しいウワサ。
今日も人々は何事もなく、ブッコローと一緒に暮らしています。
例えばこの落穂なおみ(仮)ちゃんを見てみましょう。なおみちゃんは両親と弟の4人家族。でも最近新しい家族がやってきました。
それがブッコローでした。
「ブッコローいってきます!」
なおみちゃんはブッコローに挨拶してから学校に行くくらいに夢中です。いつも一緒。寝る時だって。遊びに行く時だって一緒です。
今日はARドッジボールをしに外で遊ぶ約束。
壊れる心配があって参加はできないけど、見学ということでベンチに座らせて審判をさせることにしました。ブッコローは目に自信があります。ほぼ180度あらゆる方向に目が動くのでちょっと気持ち悪いけど審判にはもってこい。
ARドッジボールのルールは今のドッジボールとルールはさほど変わりませんが、ボールは現実のものではなく、センサーを利用していてカッコいいエフェクトがついています。
この時代にも実際の球を使うスポーツは当然ありましたが、今の子供達の流行りがこれなのです。
一通り試合をやって満足した子供たちがブッコローに駆け寄っていきます。加工のかかった濁声が子供達の笑い声に混ざり合います。
雑談andオヤツタイム。
パリパリとスナックを食べている子供達でしたが、あるタイミングで手からこぼしてしまったものが偶然にもブッコローの口ばしに入ってしまいました。
ブッコローは機械なので中に入ったらまずいはずなのですが…普通に食べてしまいました。
みんな少しは驚いていましたが、隠された機能を発見したような気分になって他にもカルパスやビーフジャーキーをあげました。喜んで食べているのでもっとあげてみると身体にも変化が現れ始めました。
一回り大きくなっているように見えるのです。未来とはいってもここまで豊かなロボットはそうそういません。
みんな面白がって家からあれやこれやを持ってきました。運ばれてきたものを一目散に食べ続けます。比例するかのようにブッコローの食欲もサイズも加速的に大きくなってきました。二倍三倍とバルーンのように膨らんでいます。
なおみちゃんも他の子に負けじとミミズクが好きそうなものを調べて持ってきました。肉食だということで家にあった賞味期限ギリギリの細切れ肉とかそんなところです。一心不乱に踊り食い。食べカスばかりがついていて可愛いです。
あまりにもがっつき過ぎなので男の子が悪戯で木の枝やらプラスチックまで持ってきました。あ、くちばしに何かついてるよ、うーん、ガン●ム。お父さんの
そんなこんなで遊園地のエア遊具並みに大きくなったブッコローはいつしか子供達を見上げるほどになってしまいました。
こうしてみると目が怖いかも…ギョロッとしていて背筋がゾクゾクしちゃいます。
こんなに大きくなっては満足に動けません。
ボヨンボヨンとお腹を揺らし、もがいても公園の地面が揺れるばかりです。まるでハピネスボンビー。そんなんだから重心がうまく定まらず、ついにブッコローは尻餅をついてしまいました。
後ろには木々があったのでバキバキ!とすごい音を立てながらブッコローは枝を折っていきます。この体たらくではミミズクなのに泊まれる木もありません。
…そのまま枝がお尻にささってしまいました。
さっそくなおみちゃんたちは抜こうとしますが全くうまく行く気配がありません。
うんとこしょどっこいしょと、カブを抜くように踏ん張って踏ん張って踏ん張って…ついにボスンと抜けたかと思えば…
パン!!!
ブッコローは爆破したのです!
中から何かがザバーンと飛び出して黒い雨が降りました。光の十字架に虹までかかっています。
呆気に取られたなおみちゃんたちが気がつくと…何と公園はあたり一面、黒い液体だらけになっていました!子供達の服も地面もほっぺたも真っ暗。泥んこ遊びをした後のようでした。
「…あれ?ブッコローは?ブッコローがいない!」
そういえば…あたり一面探しても見つかりません。残ったのはブッコローがいた後に飛び散ったインクの沼だけ。
何となくですが、なおみちゃん、だんだんと察しがついてしまい、涙目になってしまうのでした。一生懸命探しても跡形も無くなっていたのです。しまいにはつぅとなおみちゃんのほっぺたにはインクと涙がこぼれ落ちてしまうのでした。
「ここにいるよ!」
そうやって友達の一人が指をさした先には友達の一人の誰かが描いたのでしょうか。砂の上に黒い線で目一杯に描かれたブッコローがおりました。
なおみちゃんは目を輝かせて、インク溜まりに指を触れて同じように描き始めました。友達も同じように何体もブッコローを形作る子もいれば自分の似顔絵やら手形をぺたぺたとタイルに押し込む子もいました。
ブッコローはその身体を爆散させてしまったけれど、星座として空に浮かべてもらうかのようにして子供達の心に染み込んでいったのでした。
…その後、同調するかのようにブッコローたちは周辺のありとあらゆる木の枝や肉、樹脂を平らげとしまいました。結局、同じようにして肥大化したブッコローたちは檸檬のように爆発し、次々に町中をインクだらけにしてしまいました。精密機械で編まれた街はインクによって故障が相次いでパニックになりました。
販売元の株式会社ゼノにアクセスが集中しましたが、会社ともども雲隠れ。しかも、奇妙なことに生産ラインが世界中どこを探しても見つからないのでした。
どうしようもなくなって人々があたふたしたその時、偶然にもなおみちゃん以外の子供たちもその好奇心に則って壁中に爆発したインクを塗りつけ、絵や文字を描き始めました。大人たちは意外にも興味津々にそれを見ていました。
「これがカクということか!」
そうして人々はインクで文字をカクという楽しさを思い出しました。
ブッコローの中身は結局よくわからないけど…人々を困らせるだけの泥人形であるばかりではなくて、文字をカク楽しさを思い出させる希望でもあったのです。
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