噂好き

 授業が終わった後は、本当にあのメモの通りゆいちゃんによる質問攻めにあった。それも、休み時間中ずっと。


「ほー、つまりなっちゃんが恋敵ってこと?ありゃ手強いぞ....」


「なんでノリノリなの...意味わかんないんだけど」


 あまり気分が上がらない私に対して、ゆいちゃんは頭の上に音符が見えそうなほどに楽しそうだった。そんなゆいちゃんが、私は不思議だった。


「いやー、いいねぇ....」


「何がよ...」


「恋してんねぇって思って!」


「平和的に進めようとしてたのに....どーせ広めたのもゆいちゃんでしょ?」


 私は笑顔を作って、ゆいちゃんに聞いてみる。するとゆいちゃんは、私から少し目を逸らした。やはり、噂好きには敵わない。


「やっぱりか」


「えへっ、許して」


「むり」


「.....?!」


 まるで、ドッキリにかけられた人のようにゆいちゃんはポカンと口を開けていた。ゆいちゃんとは、冗談を言って笑い合うくらいのことはよくあるけれど、今回のは無理だ。許さん。


「ねえぇぇ、怒ってる?」


「いや?怒ってはない。けど許さん。」


「ねえぇぇ、今度メイク教えるから!」


「いや、私がメイクしたところでなっちゃんちは勝てんよ.....」


 そんな話をしていると、あっという間に次の授業の時間になった。席についたゆいちゃんが、またメモを渡してくる。どうやらゆいちゃんによる質問攻めは、まだまだ続くらしい。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

まっしろ 七瀬モカᕱ⑅ᕱ @CloveR072

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ