「売り込みたい」という人の性について考えるエッセイ(ミツボシカイ/著)

ナナシマイ

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 こういう界隈にいると仕方ないとは思うのですが、SNSでの立ち位置というのは非常に厄介で、そこでの印象がそのまま生み出したものへの印象や評価に繋がるのだなと感じる日々です。これまでのことを踏まえると、わたしの場合は「取るに足らないもの」あるいは「情けをかけておけば良いお返しを期待できるもの」、そういうふうに認識されていると判断するのが妥当なところでしょう。

 わたしが生み出したものとよく似たものが世間でちやほやされているのを見るたびに――とくにその取り巻きのなかに以前わたしのものに手を出しておきながらなんの反応も示さなかった人がいるのを見るたびに、わたしは自分の心が泥水のようなあまり綺麗ではないものでびちゃびちゃ浸されていくのを感じるのです。

 わかっているのです。交流と宣伝。この二つがどれだけ大事なことであるか。そうした努力を怠っているのですから、当然の帰結ですね。

 ああ、またか。残念な気持ちになりながら、不用意に吐き出してしまわぬよう喉の奥に留めておきます。気にしないでいられるほど楽観的ではなく、鬱々と危険信号を出せるほど暗い言葉に馴染みがない。

 難儀な性格だと、自分でも思います。

 そもそも、わたしのこの立ち位置というのは幼年期にすでに確立していて、手柄を奪われたり、実力はあるはずなのに評価の土俵に立たせてもらえなかったりと、他人から見下されることは日常茶飯事でした。強く出られないくせに引っ込み思案ではなくポロッとアイデアを出してしまうので、いいように使われやすいんですよね。「あなたがいると便利だ」面と向かってそう言われたこともあります。

 ね、このような事情をわたしが抱えていたなど、誰も想像していなかったでしょう? ……い、いえ。そういえば今回は名前を変えていますから、普段のわたしを知っている人はいないのでしたね。

 まぁとにかく、このむしゃくしゃしてしまう気持ちをどのようにして抑え込んでいるのか、みなさんは不思議に思いませんか?

 今回は特別に、ここまでお読みくださったみなさん限定で、お教えしたいと思います。

 その秘密はこちら! じゃじゃん!


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◇ グチャポイうがい薬セット ◇

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 わたしが独自に開発した、心のモヤを晴らすことのできるうがい薬です。身体に悪いものはひとつも入っておりませんから、安心してくださいね。

 使いかたは簡単。付属の沼を、そうですね……ベランダの排水口の近くや裏庭など、人目につかない場所にあらかじめ展開しておきます。あとは風邪用のうがい薬と同じように水に数滴垂らしてうがいをして、沼にペッと吐き出すだけ。するとどうでしょう。モヤモヤしていた気持ちが一気になくなっているのです。

 ガラガラ、よりゴロゴロ、のほうが喉のより奥へうがい薬が入るので効果が出やすいです。

 ちなみにこれ、なんと言いますか……沼がやたら美味しそうに心のモヤを食べてくれるのですが、形容しがたいぐちゃぐちゃ感がおぞましく、慣れないうちは「うわぁ……」となりますのでご注意を。慣れると「お、食べてるねぇ」と可愛く思えてくるんですけどね。

 ええと、せっかくいつもと違う名前で書いたエッセイでしたが、商品が売れなくては困ってしまうので、やっぱりお店の名前はちゃんと書いておくべきですね。店舗を持たない、ECサイトのみの運営ですし。宣伝大事。


 暮らしの「ちょっと不便」を解消する、イツカヅキ商店。どうぞご贔屓に。

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「売り込みたい」という人の性について考えるエッセイ(ミツボシカイ/著) ナナシマイ @nanashimai

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