悪筆解読アルバイト
紫陽_凛
読まなきゃよかった
いや、読めるから読めるだけの話だ。それ以外に何があろうか? 俺はただ読むだけだ。
全国各地から流れてくる悪筆文書の数はおよそ五千。五千しかないというか、五千もあるというべきか。よくわからないながら、俺は渡された悪筆文書を読む。多くが、
ある日、Bがインフルに
「もー!全部しっちゃかめっちゃかのぐちゃぐちゃですよう!」
「そういわずに、あと少し頑張れよ」
「もう読めない!これ、Bさんの【
「仕方ないな、どれ、見せてみろ」
言うなり、待っていたかのようにCはきゅるんと目を
「おめーがうるさいからだろ」
その紙はA4サイズのコピー用紙で、ピンクのラメペンの字が並んでいる。かろうじて横書きだとわかる。
……悪筆には二種類ある。
Bの
「どうですかどうですか?」
「うるさい、静かにしてくれ」
Cが静かになった。ようやく、没頭できる。
いまはただ危うきわが身を思うばかり
なんだ、
俺はBの付箋の字を見つめた。縦。
きみは
犬のような
にんげん
げに、おそろし
しょうこがある
「はぁ?」
全くもって
俺は別の紙にそれを書き出していく。
Cがそれを後ろからのぞき込んでくる。
「ああ!そんな簡単なことだったんだぁ」
「何かわかったのか?」
「はい!」
Cは満面の笑みを浮かべ、両手に握った
了
悪筆解読アルバイト 紫陽_凛 @syw_rin
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