喫茶店
綴。
第1話 喫茶店
昔働いていた喫茶店が閉店すると連絡が届いた。
当時一緒に働いていた仲間に連絡を取り、一緒に喫茶店へ行った。
「いらっしゃい!」
懐かしい奥さんの笑顔に出迎えられて、私達は席についた。
(閉店します。)
の張り紙を見て、懐かしむお客さんが次々と入ってくる。
オーダーを取った伝票もぐちゃぐちゃと並べられ、さげてきた食器類達は洗い場から溢れている。
「少し時間かかってもいい?もーてんやわんやでぐちゃぐちゃになってて………」
」ゆっくりで大丈夫ですよ!」
私達は懐かしい話をしながらのんびりと待った。
最初に運ばれてきたのは、娘が食べたかったオムライスだ。
「ぅわぁー、これこれ!」
オムライスからふわりと湯気がのぼり、娘の笑顔がポッと色づいた。
私がこの喫茶店で働いていた頃、娘はよく受験勉強をしにやってきた。
奥さんが時々ドリンクをサービスしてくれた。
合格発表の日。喫茶店の外から忙しく働いている奥さんを見つけて報告した。
娘とふたりで両手をあげて大きく輪っかを作って微笑んだ。
奥さんも嬉しそうに両手で大きな輪っかを作ってくれた。
食事が終わってドリンクを頼んだ。
最後に運ばれてきたのは、私が頼んだハワイアンソーダクリーム。
綺麗なブルーのソーダの上にたっぷりとソフトクリームがのっている。
「あー、早くしないと溢れる!溢れる!」
とみんなで騒ぎ、私は慌ててストローでソーダを飲みながらスプーンでクリームをすくった。
それでも、間に合わずにハワイアンソーダクリームはぐちゃぐちゃと溢れてしまった。
想い出話に花を咲かせ、ソーダの入ったグラスを見た。
綺麗なブルーの空に真っ白い雲が混じったような、さわやかな晴れた日の色になった。
喫茶店 綴。 @HOO-MII
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