あの懐かしき動画をもう一度
アーカーシャチャンネル
新たなルートへの第一歩
「あの動画、投稿されて16周年になるのか」
とあるつぶやきをノートパソコンで確認し、配信者の彼は思う。
動画サイトの動画は、余程の事がない限りは版権系のものはすぐに消される。この辺りは著作権も絡むのだが。
その中で『公式が投稿した』に近い、この動画は削除されずに16年が経過したのだ。別の意味でも驚きしかない。
「そういえば、この動画サイトでマイリストに入れていた動画、どうなっているだろうか」
この動画がきっかけという訳ではないが、久々にその動画サイトへログインして動画すると……。
「まずい、マイリストに入れた動画がぐちゃぐちゃだ」
適当にマイリストに入れたわけではなく、何かの法則があってお気に入り動画をいれていたのだが、かなりの割合でぐちゃぐちゃになっている。
その中には、サムネイル画面が『再生できません』や『削除されました』という者もあり、やはりというかあの動画が残っていること自体が奇跡に思えるレベルとも。
「仕方がない、ある程度は整理していかないと」
そこで彼は、削除された動画は削除リスト、残っている動画は別枠のマイリストという風に大雑把でも分けることにした。
「この動画、懐かしいなぁ……アカウントを取り始めた頃に見ていた動画だ」
様々な動画を見ていくにつれて、その当時の過去を思い出していく。
その一方で、ふと何かに気づき始め、作業開始から数分ほどで手を止める。
「これは、まさか……?」
削除された動画は権利者削除という訳ではなく、普通に非公開扱いになった動画だ。
一体、何があって非公開になったのかが気になっていたが、投稿日時を見たら3年も前の動画である。
「非公開理由は……って、まさか?」
理由を見て、何かに気づいた彼は運営にダイレクトメールを送り、再調査の要請をした。
数日で削除のようなものではなく、3年も経過しているので動かなかったら仕方がない……という気持ちも半分ある。
しかし、運営は予想している以上に早く動き、対応したことには驚きを隠せない。
『3年前に非公開になっていた動画が復活した件ですが、実はまとめサイトなどが絡んでいたことが運営より発表されました』
その経緯に関して、彼は早速配信で報告を行う。
配信者と言ってもリアルで顔出しをするのではなく、バーチャルアバターを使用したブイチューバ―だった。
アバターに関しては美少女キャラをイメージするものであり、いわゆるバ美肉と言えるものだが。
『……力で作品を非公開にする行為、やはりというか許されるものではないと思います』
『著作権侵害などに関しては削除でも仕方がない箇所もありますが、今回の動画は一次創作の物ですのでその部類ではありません』
その後も話は続いたが、同時接続者の数は最終的に5ケタに迫るレベルには到達したらしい。
この配信より数日後、該当するまとめサイトは閉鎖されたが、SNS炎上は続くだろう。実際、彼を批判した動画も投稿されているのがその証拠だ。
彼のぐちゃぐちゃになっていたプランは、予想外の行動がきっかけで整理整頓され、新たな道を歩みだしたと言えるだろう。
あの懐かしき動画をもう一度 アーカーシャチャンネル @akari-novel
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