星になれたら

誰もが誰かのお星さま

「ルイナ、あの星を見て」


ヒスイが言った。


「ヒスイ、わたしはあのお星さまになりたいの」


ルイナは言った。


「ルイナ、あのお星さまは、とても悲しい悲しいお星さまなのですよ」


ヒスイは悲しげな表情を浮かべ、言った。


「そうですね…」


「果てない銀河で、あのお星さまになったら、あなたは誰にも見つけてもらえないわ」


ヒスイは、涙を流した。


「あぁ…ヒスイ、あなたはまたあの星のことを思い出しているのですね」


それは、銀河の星だった。ヒスイは、とてつもなく煌めくお星さまを見つけた。あの星は、ヒスイに見つけてもらい、輝いた。しかし、あの星は、流れ星になり、消えた。銀河の屑になったのだ。


「でもね、ヒスイ。わたしはそれでもあのお星さまになりいたいのです」


「どうしてですか?ルイナ」


「ヒスイ、あなたを照らすためですよ」


ここには、太陽は存在しない。ここにあるすべてを照らすのはお星さまの光だ。


「ヒスイ、あの星はたしかに銀河の屑になりました。でも、ヒスイ、ここにあなたがいる限り、あの銀河をうめつくすお星さまがなければ、あなたを照らすことはできません。だから、あのお星さまが消えたのなら、わたしがヒスイを照らしたいのです」


「ルイナ、それはあなたもおなじです。あなたを照らしているのはどのお星さまですか?そのお星さまを、ルイナは知っているのですか?」


「それはヒスイ、あなたですよ」


「でも、わたしはお星さまではありません。ルイナを照らすことはできません」


「そんなことはありません。だって、ここにいる誰もが、誰かのお星さまなのですから」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

星になれたら @m-amiya

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ