異世界宿屋ぐちゃぐちゃ事件
明里 和樹
とある宿屋での一幕
どうも! 多少の魔法は使えるものの、チートも無ければ前世の記憶も無かった転生者、デリシャといいます!(挨拶)
これはそんなわたしの、ある日のできごと。
ふ、ふふふふふっ……。ようやく……追い詰めたのです……。
わたしは仄暗い笑みを浮かべながら、薄暗い部屋の中を、ねっとりと見詰めます。
ぐちゃぐちゃに荒らされた宿屋の一室。窓際に設置されたベッドの上で毛布に包まり、モゾモゾとしている“ソレ”に気付かれないよう、静かに《ある魔法》を発動します。
瞬間、自分以外の魔力に気付いた“ソレ”はこの部屋から脱出すべく、窓へと跳び上がる! ……つもり、だったんですよねぇ(悪い顔)。
異変に気付き、ベッドの上でジタバタともがく“ソレ”。
ふ、ふふふふふふふふふっ…………今更気付いてももう遅いっ!(一度言ってみたかった台詞)
わたしが使ったのは《影縫い》。効果は読んで字の如く、対象を影に縫い付け足の動きを止めるという、行動阻害魔法です。
文字通り無駄な足掻きをする“ソレ”に向かってゆっくりと歩を進めると、《風魔法》で毛布の中にいる“ソレ”だけを覆い、一気に上へと引き上げます!
「捕ったどーーーーーー!」
「ニァアァァァァァァッ⁉」
ここは魔法のあるファンタジーな世界、当然ながら《魔物》がいます。
そして猫みたいな鳴き声を上げるこの魔物は《ニャア》。……まあ、見た目はまんま猫です。
ただ猫と違うのは、その可愛らしい手足に魔力を纏わせ、壁や天井を縦横無尽に走り回るということです。……おかげで今日は、ずっと追いかけっこでした……(遠い目)。
ところで家は宿屋兼ご飯屋さん『宿里木亭』。当然、衛生的に動物や魔物はご法度です。
「掃除……しないと……」
その日わたしは女将さん達と一緒に、日が暮れるまで、全ての部屋を掃除して回ったのでした……。
異世界宿屋ぐちゃぐちゃ事件 明里 和樹 @akenosato
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