あの子のタンスの中をぐちゃぐちゃ!

青キング(Aoking)

あの子のタンスの中をぐちゃぐちゃ!

 とある高校に通う知野翔也は、ある日ひょんなことから禁断のスマホアプリを手に入れてしまった。

 そのアプリというのが『気になるあの子を困らせよう! タンス混ぜ混ぜコントローラー』である。


 このアプリの使い道は、名前入力画面に打ち込んだ名前の自宅を特定し、その人のタンスや押し入れの中の下着の入った段だけぐちゃぐちゃに散らかす、それだけだ。


 しかし世の中特殊な変態というのはいるもので、翔也こそその一人だ。

 翔也はかねてから女子の自宅のタンスやクローゼットを覗いてみたいと切望していた。


 侵入し、タンスを開けて、主に洗剤と着用者の匂いが混ざった下着を嗅いでみたかったが、実際に行動を起こすのは犯罪である。

 そこで翔也はタンスの中をぐちゃぐちゃにするだけでも、と思い立ったのだ。


 朝起きて新しい下着に着替えようとした瞬間の女子の困惑顔を想像するだけで、下半身がゾクゾクと精力を漲らせるのだ。

 アプリの使用回数は一回と限りがあり、翔也は三日の選定期間を設けてから操作対象を決めた。


 クラス一番の美少女である堺千里だ。

 クラスメイトの男子曰く、相手によって態度を変えない気の良さと掌に収まるか収まらないかの瀬戸際ぐらいのバスト、さらにはテニス部で程よく引き締められた脚線など、美点を挙げれば両手指が埋まってしまう。


 そんな美少女を操作対象に決めて、翔也はアプリの使用方法をしっかりと入念に暗唱できるぐらいまで読み込んでから名前入力画面に堺千里、年齢、おおよその住所などを入力した。

 アプリは次の画面に移行し、堺千里の寝室と思しき部屋を映した。

 画面には就寝までお待ちください、と注意表示がされる。

 翔也はネットゲームで時間を潰し、注意表示が消えるとゲームを中断してスマホの前に前かがみになった。


 さあ始めようか。


 スマホ画面の下の方に表示された四方カーソルをタップし、部屋の端に備え付けられたタンスの前まで遠隔カメラを移動させた。


 さあさあ、下着の段はどれかな。



 次第に昂ってくる情欲を押さえつけながら、タンスを上の段から開けようとしていく。

 一段目から早速タンスを開いた。


 下着だ、ブラだ、パンティーだ!


 翔也の頭の中で北島三郎の『まつり』のサビ部分が流れる。


 ぐちゃぐちゃにしてやる、ぐちゃぐちゃに。


 下着の入った段に方向カーソルを合わせ、スマホ画面の上で指を使って円を描く。

 可視化できるタンスの中で、堺千里のブラジャーやパンティーが目に見えない手によって散らかっていく。


 もっと、もっとだ。


 興奮に溺れた翔也はタンスの中をかき混ぜる。

 最終的に三分ぐらいは攪拌していただろうか

 翔也は満足してタンスから方向カーソルを離した。

 その時、タンスの中に下着ではない柔らかな物が仕舞われていることに気が付く。


 なんだこれは?

 遠隔カメラの中で硬い物をつぶさに見ると、それは薄暗い中でもわかるほどに奇妙

にも肌色をしていた。


 肌色、柔らかいもの――。


 翔也は三秒ほど頭を捻り、カメラから見える範囲で柔らかい物の形状を推測して、思い至ってしまった。


 まさか胸パッド! 


 気が付いた瞬間、タンスの中に同じものが何組も目に付いた。


 あの胸は、あの胸は――。


 翔也は仰天のあまりスマホを落とした。

 落とした衝撃でアプリが強制終了する。


 エロい!

 胸パッドで大きさ誤魔化してるのもエロい!


 翔也の性癖が一段レベルアップした。

 毎朝、ブラの下のパッドを調整している堺千里の姿を想像し、翔也は致した。


 明日の朝、楽しみだなぁ。

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