異世界から来たんだけど、ご飯食べさせて。

タマ

僕の事語ってもいいですか?

僕の名前は高田浩平17歳、住所不定の無職だ。無職に成ってしまったのも住所不定になってしまったのにも、ちゃんと理由が有るんだけど警察であろうとも信じてはくれなかったんだ。その秘密とは、僕はこの世界の人間ではない。当然そんな荒唐無稽な戯言を誰かに言おうとも誰も信じてもくれなくて正直困っているんだが。


どうか、暇つぶしにでも聞いて行ってくれないかい?

話の内容によっちゃ、いくらかご飯でも奢ってくれないかい?

まあ、いきなりじゃそんな顔してもしょうがないか。まずは話を聞いてから決めてくれよ。



あれは、日々の生活の為に。外資系の研究所へ物資を漁りに行った日の事だ。

今の僕の生活とは違って、あっちでの生活は突然ハードモードへ突入して。

想像でしか現れた事の無い化物が、日常へと降臨し。そこで暮らす俺達の暮らしを根底から破壊する。終わりのない別ればかりの日々だった。


話を戻そう、その日の僕達は4人のグループで郊外にある会社の一角で電子ロックされた扉を見つけてしまった。

残念な事に、その電子ロックを解除できる奴がそのメンバーの中に居たんだ。

薬局や医療クリニックには、電子ロックの中に僕達の力に成るかもしれない物が良くあったから。勿論歓声と共に扉が開くのを一緒にいた仲間と祝福しあったものさ。

だけど、そこにあったのは。地下へと続く最近ではめっきり見なくなった清潔で整頓された通路だった。

どんなお宝が有るのかと僕達はわくわくしながら入ったのさ。

結果だけ教えると。あったのは、地下4階にわたる研究施設とその研究対象達。

そう、ゾンビ達の群れと見た事の無い化物だった。

どうやらその施設は複数の大型研究所が合体したような場所だったらしく。

幾つかのセクションに分かれて研究していたようだった。

一つはゾンビ・一つは異界扉・一つはエイリアン。

正直僕達は、ここの扉を封じて帰るべきだったんだろう。

だから失敗したんだ、ゾンビとは日々戦っていて慣れていた。

まさか、刑務所の受刑者を実験に使用しているとは思わなかった。具体的に言うと数が物凄くて。中には根本的に体を弄られたらしく、人間というよりロボットにしか見えないやつも居た。気がついた時には、もう逃げる事も出来ず。奥へ奥へと場当たり的に追いやられるだけに成ってしまったんだよ。

そりゃ後悔したよ、もうちょっと考えて動くべきだったんだってね。

そして、逃げるより方法が無い僕達の元へ。異界扉ってのが普通の人間でも入れる物だっていう事が判ったんだ。

何で判ったのかって?異界扉での危険回避方法や対処方法などのマニュアルを見つけたんだ。

そこからは、助かる方法がそれしかないってんで。皆して知恵を出し合い。

道中二人減って、やっと異界扉へと辿り着いた。

後は入り口の異界扉を何とか閉じて、僕達はその中へ入った。


それで今に至るのさ。


どうだろう?細かい部分とか聞いていても退屈だろうから。かなり省いた説明に成っちゃったけど、面白かったかな?

うん?証拠はあるのかって?

有るには有るけど、何が普通に出来る事か判らないんだよね。

そうだな、君って魔法とか使える?

僕の世界じゃ、才能ある人なら魔術学校で教えてもらえるんだけど。

ありゃ使えない?そんなもの存在しない?

ふむふむ、じゃあ簡単な魔法を見せるね。

『明りよ灯れ』

ほい、スマートホンの明かりより暗い程度の物だけど。どうかな?

喜んでくれてうれしいよ、ドン引きしてるようにしか見えないけど喜んでるんだよね?


んん?魔法を教えて欲しい?僕が教えるの?

無理無理、教本持ってこれてないし。僕魔術学校の生徒じゃないから。ちゃんと教えてもらった訳じゃないからね。

勝手に持ってきて勝手に覚えたのさ、だってもう駄目っていう人も居なくなってたし。

自分でできる事増やしていかないと、死んじゃう環境だったからね。


はあ。怒らせたかな見せるんじゃなかった。

魔法見せてから何か執着されたけど、教えられないって言ったら。怒って行っちゃった。

飯のタネに成るかもしれないけど、見世物にしても後が面倒だろうしなー


はあ、しかしどうしよう。ご飯もだけど数少ない持ってきた荷物の中に缶詰めブロブあったんだよね。好奇心で確保した物だけど。捨てたら駄目だよねこの缶入りブロブ。下手したらここでもゾンビで溢れかねないしなぁ。

ああ、面倒だ。


でも、こうやって悩めるんだから。僕は生き延びて幸運だったんだよね?

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異世界から来たんだけど、ご飯食べさせて。 タマ @zonnzikirai

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