先輩と後輩

まるべー

第1話

「先輩、先輩の部屋あまりにもぐちゃぐちゃすぎませんか?」


「うるさい」


「掃除くらいちゃんとしてくださいよ。僕だって忙しいんですからね? ほらそこ! ゴミはきちんと分別して捨ててください!」


「お前は俺の母親か」


後輩の奴、やけに今日はテンションが高いな……何かあったんだろうか。まあ、いいか。それよりも今は、この部屋を片付けることが先決だ。


俺は部屋の隅にある本棚から、適当に数冊の漫画を手に取り、ベッドの上に寝転がって漫画を読み始める。


すると、そんな俺の行動を見てなのか、後輩がジト目でこちらを見つめてくる。


「あのー……先輩?」


「なんだ?」


「何やってるんですか?」


「見ての通りだが……」


「いやいや、見てわからないほど馬鹿じゃないですよ!? なんで漫画読んでるのかを聞いているんですよ!!」


「別に良いだろう。どうせ暇なんだし」


「僕は暇じゃないんです!友達がいない先輩と違ってたくさんの友達がいるので、遊びに行く予定とかもたくさんあるんですよ!」


「それはそれで可哀想だな……」


「憐れむような目で見ないでくれます!? ていうか、僕のことはもう良いですから、早くその漫画をしまってください!」


「はいはい……」


俺は後輩に言われた通り、手に持っていた漫画を元の場所に戻す。そして、再びベッドの上で横になり、今度はラノベを開く。すると、後輩はため息交じりにこう言った。


「はぁ……やっぱり何も変わってないですね……」


「おいおい、そんな悲観するなって。人生なんてこんなもんだろ?」


「うわっ……開き直りましたよこの先輩。というより、よく堂々と言えるものですね……」


「事実だから仕方がないだろ。それに、俺は今の生活に不満はないぞ?」


「えっ? それってもしかして……彼女ができたとかですか?」


「いや、違うけど」


「じゃあ一体どういうことですか?」


「単純に今の環境が気に入っているだけだ」


「……そうですか」


「そういうことだ。それより、今日は何しに来たんだよ」


俺はベッドの上で起き上がりながら後輩に尋ねる。すると、後輩は何故か嬉しそうな表情を浮かべた。


「実はですね~。今日は先輩にお願いがあって来たんですよ!」


「お、おう……」


いつも以上に元気が良い後輩の様子に若干引きながらも返事をする。そんな俺の様子を気にすることなく、後輩は話を続ける。


「実はですね。来週の月曜日から文化祭が始まるのですが、そこで行われる演劇で主役を演じることになったんです!! なので、ぜひ先輩には僕の勇姿を応援に来てほしいと思いまして」


「へぇー、すごいじゃないか。頑張ってくれよ」


「はい!頑張ります!!」










「だから、ちゃんと見ていてくださいよ、僕の大好きな先輩」




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先輩と後輩 まるべー @marub

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