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 いつのまにか、紳士はこの寂れたレンタル屋に来なくなっていた。

 何があったのか、私にはさっぱりわからない。病気にかかったのかもしれないし、もう亡くなってしまったのかもしれない。もしかすると、映画よりも自分の精神をアンチエイジングできる新しい趣味を見つけたのかもしれない。

 つい先日、件のレンタル屋を辞職した。自分で言うのも何だが、レンタルDVD屋の店員として私は優秀な方だったと思う。店長に辞職を相談するとずいぶんと引き止められたし、いくらかの賃金の加増まで提示された。それでも、残るわけには行かなかった。私はあそこにいてもどこにも行くことができなかったし、あそこで得られるものはすべて得たという確信があった。

 今はどこかに旅でもしようかと只々頭を振り回している。

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あるDVDレンタル屋の話 sir.ルンバ @suwa072306

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