何事もすっきりが一番。
ゆきまる書房
第1話 やっぱりぐちゃぐちゃなものは嫌い。
昔から何事もぐちゃぐちゃしたものは嫌いだった。部屋を整理するのは当たり前、鞄の中や机の上も必ず整頓する。配線は見た目がぐちゃぐちゃにならないように、どうすればすっきり見えるかを考えて繋げた。
それだけでなく私は人間関係にもこだわった。職場の人間や友人だけでなく、家族関係に至るまで、必要な人間とそうでない人間に振り分けて、とにかくぐちゃぐちゃにならないように徹底した。
私の中の不必要な人間とは、物事を引っかき回す人間だ。根も葉もない噂話で周りを翻弄する人間、周りの人間を振り回すトラブルメーカーなど、せっかく綺麗にまとめた人間関係をぐちゃぐちゃにする恐れのある者ばかりだ。ぐちゃぐちゃになってしまったものは、元から直さなくてはならない。
「ふぅ……。やっと終わった……」
一仕事終えた私は、額に流れる汗を拭った。ここ最近、私の人間関係をぐちゃぐちゃにしてきた後輩。噂好きな後輩のおかげで、職場の人間関係がぐちゃぐちゃになるところだった。だから数日前の夜、私は後輩を自宅に誘い、睡眠薬を盛った食事を振る舞った。意識がない人間の体の扱いに最初は手間取ったが、今では手慣れたものだ。
後輩を風呂場に運んだ後、後輩の喉元から丁寧に血抜きを行う。血抜きを終えると、手足、首、胴体に後輩を切り分け、薬品と道具を使って肉を削ぎ落とす。肉がなくなった骨を一本ずつ丁寧に洗い、漂白すれば完成だ。数日に渡っての作業が終わった頃には、後輩は綺麗な白い骨になった。
久しぶりにしてはいい出来だ。鼻歌を歌いながら、私は作業の続きを行う。後輩用に作った棺桶に後輩の骨を入れ、標本よろしく後輩を組み立てていく。それを完成させてから、私はうっとりと後輩だったものを眺めた。
ああ、やはり骨はいい。無駄な肉が削ぎ落とされ、汚れない白を覗かせる。ぐちゃぐちゃになる要素がない。またコレクションが増えた。
何事もすっきりが一番。 ゆきまる書房 @yukiyasamaru1
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