笑顔のケーキ🎂

華ノ月

笑顔のケーキ🎂

「ユトのバカ!!」


 リアはユトに部屋にあったぬいぐるみを叩きつける。


 きっかけは小一時間前。


「ユト~♪お菓子作ってきたよ~♪」


 そう言って、僕の自宅の僕の部屋に来た彼女のリアは、僕の部屋に入ると同時に固まった。


 そう、部屋にはクラスメイトのミユが僕の部屋に来ていて、ミユの作ったクッキーを頂いている時だったからだ……。

 なんというか、タイミングが悪い……。


 勿論、リアは怒り狂って、ぬいぐるみやらを僕に投げかけてくる。僕が事情を説明しようにも一切話を聞かない。


 困った……。完全に誤解なんだけど……。


 リアは最後にラッピングされたお菓子を投げつけると、怒ったまま僕の家を飛び出しっていった。


「もしかして、リアちゃんに私とユトが従妹同士だってこと話してないの?」


「……うん。特に言う必要もないと思って言ってないよ」


「なんか、ごめんね。ユトの彼女に誤解させるような行動しちゃって」


「まぁ、なんとかするよ。それにしても、クッキーは美味しかったよ。これならアキラに仲直りがてら渡してもいいと思うよ」


「ホント!良かった~。ありがとう、ユト!!」


 ミユはそう言うと僕の部屋を出て帰っていった。


 さて、どうするかな……。


 リアが叩きつけてそのまま置いていったお菓子を眺めてため息をつく。


 あ、そうだ……。


 僕はあることを思い付いて、母さんにお願いすると、母さんはOKしてくれた。




 完成して、リアに家に来てくれないかとお願いする。リアは渋々来てくれた。


「……なに?」


 明らかに不機嫌なリア。僕はリアを自分の部屋に通す。


 部屋の中心にある小さなテーブルには四角い箱が置いてあった。


「リア、開けてみて」


 リアが、その箱を開ける。


 そこには……、



『ゴメン』と書かれたケーキ。



「ユトが作ったの……?」


「あぁ………」


「デコレーション、ぐちゃぐちゃ……」


「うるさいな。僕が不器用なの知ってるだろう」


 そして、僕はミユと従妹同士だという事と今回のことの説明をした。


「……なぁんだ。そういうことだったの」


 説明して、リアは納得したらしく、その後は仲良くケーキを食べた。


「ふふっ、ユトの手作り、初めてだね!」


 事情が分かって一気にご機嫌になり、美味しそうにケーキを頬張る。


 全く……手が焼ける……。


 



 でも、そんなところも僕は大好きだ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

笑顔のケーキ🎂 華ノ月 @hananotuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ