早くも遅くもないタイミング

冴木さとし@低浮上

最終話 仕事はできるけど、いけすかない男って聞いてたらしいよ?

 仕事終わりにコンパで集まった男女7人。1人の女性がお肉を小皿に丁寧に取り分けていくのを俺は見ていた。みんなの分を取り分けていくなんて、家庭的ないい子だなと思いきや


「ごめ~ん。忘れてた!」


 と俺を見て女性はお肉を取り分けた皿を俺に渡し、あざと可愛くイケメン男に笑いかけた。目の前に座っているのに忘れてたと周囲にアピール。女性に俺は嫌われているらしい。俺はなにか気に障ることでもしたのだろうか?


「まぁまぁ、ラッキー7ってよく言うじゃん? 7番目に回ってきた順番は幸運だって! いいことあるさ、気にすんな!」


 俺ではなくイケメン男がそう言って女性のフォローにまわった。お前が言うなと言いたくなった。ラッキー7とお前はいうが、俺の気分はアンラッキー7だよ! と心の中で悪態をついていたら「チャラ~ン」と携帯が鳴り、相手は上司から。何だろう? と思った俺は携帯に出た。


『お疲れさま。遅くにごめんね。今、大丈夫? ちょっとシステムに不具合がでちゃってね。それがお得意様で何とかしてくれってクレームきちゃって。今のメンバーでやれるだけやったんだけど、お手上げでね。申し訳ないんだけど、ちょっと現場に来てくれない?』


 そう言われた俺はこのまま一緒に食事をしてもつまらないだろうな、と思い

「そういうことなら分かりました、すぐ向かいます」と承知した。

『ありがとう! 助かる!』と聞いた後、すぐ現場に向かうことにした。


「ごめん。仕事の連絡が入った。行ってくる」と俺。

「今から? 大変だな」とみんな笑っていた。


 現場に到着した俺はシステムトラブルをなんとか解決。上司には感謝された。帰宅してお風呂に入ってリフレッシュ。さっぱり快適、2時間しか寝れなかったけど、それでも翌朝出社した。


 昨日のコンパに来ていた男女6人はみんな食中毒になったらしい。これを聞いて俺は運がいい。確かにラッキー7だと思ったよ!



 終

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