パズルぐちゃぐちゃ

京極 道真  

第1話  パズルぐちゃぐちゃ KAC20232 完結

教室窓の外。やたら大きな白い雲。青い空にのんきにプカプカ浮かんでいる。僕に似てる気がして。空の雲を”ぐちゃぐちゃ”にしたくなった瞬間。大きな風が吹き、雲が流れた。夏休みの補習。11時45分終業のチャイムがなる。僕は同時に校舎を出る。「あーあ、やっと終わった。腹減ったなー。」僕はボソボソ一人つぶやきながらグランド横を歩いてると背中から「タクー。」とジュンの声が響く。立ち止まり振り向くと、ジュンとその後ろをバックを肩にかけて斜めに走ってくるカイの姿も見えた。僕たち三人はモブ友だ。努めて目立つこと嫌う。学校でも成績は平均値をキープ。牛丼で言えば”並”並みが一番良いポジションだ。これはあくまでも現実世界での僕らの心地良いポジションだ。しかし、僕らは、あの日エルクの本屋に迷い込んでから、不思議なことが起こっている。ジュンが「タク、あれから不思議なこと起きてない?」「起きている。起きてる。僕はクマのぬいぐるみに変身。僕のコピーのクマは一体売れたよ。」ジュンが「へーえ、売れたんだ。」「カイ、カイは?不思議のことなかった?」「僕は、ここのところ電車で必ず席に座れることぐらいかな。それに帰りにやたらネコを見かけるぐらい。」ジュンは、畳みかけるように「ネコかあ。ネコは異世界の道案内ってよく言うよな。やっぱり僕ら異世界の力を有してしまったとか。モブの僕たちにしてはすごくない?きっとクラスメートに言っても漫画とネットのやりすぎとしか言われないよな。」僕もカイも「うん。うん。」僕はジュンに聞いた「そういうジュンは、何かいいことあったんじゃないか?」ジュンが嬉しそうに「あった。あった。この間の期末テスト順位かなりあがった。学年16位。すごくない?」僕はむっとして、嫉妬を前面に押し出た。「モブは高得点を採っては、いけないんだぞ。」”ぐちゃぐちゃ”と心がざわついた瞬間。ジュンの成績表がカバンから落ちた。「なーんて冗談さ。」僕は成績表を拾いジュンに渡した。そして今日も僕らは駅前の本屋へ。入り口で”ビリビリビリー”青い電気が体を走る。本屋のエルクのお姉さんが僕に「タク今日は処方箋を持ってきた様ね。」そういわれて僕は右手に処方箋を持っていた。”軽度の症状アリ。処置方法:手で壊してください。「タク、これはパズル。まず”ぐちゃぐちゃ”にして。それからピースをはめて。24ピース。ベストピース。」僕はパズルをはめ込んだ。そして机にひっくり返し”ぐちゃぐちゃ”にした。とても気持ちが良かった。できたものを壊す。”ぐちゃぐちゃ”は今日の僕への最善処置法。「このパズル買います。」僕はレジに並んだ。

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