第2話 眠りのお姉さん。

 部屋の明かりを最大で灯して、姉に声をかける……起きない。もう一度。


「おい姉貴。起きろよ。今日出発だろ」


「……うぃ〜」


 もぞもぞと上半身を起こす姉。


「ったく。姉貴、そんなんで単身アメリカに行って大丈夫か?」


「大丈夫……私は……やればできる子……だから」


 目をこすりながら、眠たそうにしている姉。


「そこの寝ている後輩も起こしなよ」


「まだ、寝かせてあげましょ。昨日はいろいろあったから」


「いや、俺も学校、姉貴は空港、ソイツは会社、寝かせていたらダメだろ?」


「ソイツって……桜井詩織ちゃん。前にも紹介したでしょ? だから和哉かずやはモテないのよ」


「……はぁ〜。俺は女には興味ない。別にモテる必要もない」


「あはは。生きる伝説、硬派野郎。実の弟だけど惚れるわ」


 姉は背伸びをして、ベッドから降りた。


「そうそう、詩織だけど、私が家政婦として雇ったから、今日から一緒に暮らしてね」


「は? なんて?」


「だから、家政婦。詩織は昨日会社を辞めて、家政婦になったの」


「待て待て、それは同居しろってことか?」


「そう」


「断る。それに家政婦で雇ったなら、なおさら起こせよ」


 姉貴はいきなりなんてことを言い出すんだ? 同居? 俺とコイツが?


「いいから、いいから。とりあえず朝ごはん食べよ。しばらくは和哉の手作り料理を食べることができないからね」



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綺麗なお姉さんが保護者になりまして。 さとうはるき @satou-haruki

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