第23話 終わりに

 さて、ここまで記録を見ていてくれてありがとう。


 《すぎやまめつこ》杉山滅子への取材はこの私自身も肝を冷やす想いだったが、一先ずは無事に生還できた事実を喜ぶとする。


 彼女には申し訳ない話ではあるが、日本は彼女を我が国固有の災害として認定し、杉山滅子専門の調査、研究機関が発足されている。


 つまりは彼女を地震や台風と同等に扱い、人としての権利を剥奪するという事らしい。


 この決定に、私は異を唱えたい。

 情にほだされた訳ではないが、この前例をまかり通してしまった場合、後々取り返しのつかない事件が起こる事は大いに危惧できる。


 それに、私は彼女の理性に賭けてみたい。

 杉山滅子は老化という概念がほぼ存在せず、世界各国が核を振りかざす中で我が国が生き残るには確実に必要となる人物だ。


 理性があり、知性があり、感情を有するならば、そんな彼女と良好な関係を築くのは充分に可能であると私は考える。


 そのため、日本の未来を考えるならば彼女を国の一員として受け入れ、互いに寄り添う姿勢が必要なのではないだろうか。


 私はこの事を声を大にして訴えようと思う。

 これまでの記録を見た上で、君も賛同してくれるのであれば、どうか他の高官にも広めてくれ。


 私は引き続き、私の成すべきことをする。

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春の悪魔 無気力なすび @42731maou

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