第7話
いつもより30分も早いと人もまばらだな。
こんな早くに登校して何がしたいんだ、僕は。
ピロンと通知音が鳴る。
スマホを見る。
『後ろ』とメッセージが来ていた。
「ん?うしろ?」
僕は、後ろを振り返る。
そこには、笑顔のほたるさんがいた。
「おはよう、ほたるさん」
「そうすけ・・・くん・・・おは・・・」
僕は、なぜかほたるさんの頭を撫でていた。
昨日は、怖かったはずなんだけど。
なんか、小動物みたいなんだよなぁ。
「はや・・・いね」
「ああ、朱音にいじられすぎてな。逃げてきた」
「あはは」
ほたるさんが笑った。
可愛いな。こんなかわいい子が彼女なんだな。
「ほたるさん、せっかくだから手を繋いでいく?」
「え、あ・・・ああ・・」
僕は、そのままほたるさんの手を握って歩き出す。
ほたるさんの視線が下向きになる。
横目で見る彼女の顔は真っ赤だった。
もう、耳まで真っ赤になっている。
ピロンと同時に通知音が鳴る。
『兄貴、言い忘れたけど今日あかりちゃん家来るから』と書かれていた。
「あの・・・あの」
「たぶん、同じことが書いてあると思うんだよね」
僕は、ほたるさんにスマホを見せる。
彼女は、うんうんと首を縦に振っていた。
「わたし・・・も」
「ほたるさんも来たいの?」
さらに、首を縦に振っていた。
そんなに振ったら首落ちない?大丈夫?
「いいよ、じゃあ帰りは一緒に帰ろうか」
「はい」
こうして、計らずも帰りの約束もできたのであった。
そして、僕らはこのあと言うまでもなく教室で注目の的になるのであった。
口下手な君と 天風 繋 @amkze
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