サポ限に書いていたこと74 恋愛について・2
■日本人の恋愛観の移り変わり
◆縄文時代
恋愛感情より、集落同士の結びつき強化を重要視していました。
血縁者で形成されていたため、集落内での恋愛は禁止。交易を通して恋愛、結婚していた。また、男女が気ままに結婚、「共同婚」や「集団婚」を行っていた。集落の中だけで結婚した。など、この時代の恋愛については様々な説があります。
◆平安時代
・貴族について
家柄や教養を重視して結婚していました。
女性は他人に顔を見せず、御簾越しでしか顔を合わせることができなかったため、男性は気になる女性について調べ上げる必要がありました。
仲介人を通して女性にラブレターを送り、女性から返事があれば男性が女性の部屋に行く。女性と男性は三日間同じ部屋で過ごし、その間にどちらからも不満が出なければ結婚が成立します。
これらから、「あう」や「みる」という古語が、結婚を意味するようになったと考えられます。
当時のラブレターは、和歌。
「源氏物語」などの文学作品にも、和歌が含まれた文のやりとりが多くみられる。内容はもちろん、どのような紙に書くのか、どのように届けるのかも大切でしたた。
結婚は、一夫多妻制(正妻は一人のみ)をとっていました。
ほとんど、夫が妻の家に行く通い婚。家柄や知性の高い正妻は夫と同じ屋敷に住むことができたが、それ以外の妻は実家から出ることはなかったです
女性からの離婚の申し入れはできず、離婚の際は法に則った判断が必要だったのです
◆江戸時代
・庶民について
男女比が二対一。恋愛の主導権は女性が握っており、デートの誘いやプロポーズも女性からだったとされます。
恋愛の始まりは恋文から。基本、男性から恋文を書き、女性の着物に入れたり、信頼できる人に届けさせたりして渡す。寺子屋などの影響で、庶民でも識字率が高かったことが影響してます。
また、男性が女性のお尻をつねるナンパ方法もありました
恋文のやり取りを何回も重ね、実際に会うことになる。デートは人目を忍んで木の陰などで行われていました。
当時は、子供ができてからの結婚や離婚、再婚も多かった。
・武家について
武家の結婚は、家がすべて。
家同士のつながりで将軍の脅威にならないよう、幕府からの結婚の許可も必要でした。
家を継ぐのは「男のみ」という決まりがあり、本妻との間に男児が生まれなかった場合、愛人との間に生まれた子どもが家を継ぐこともありました
◆明治時代
「恋愛」が、日本に存在するようになったのはこの時代から。
江戸時代の、その場限りの色恋の繰り返しを改め、文化人が恋愛という概念を広げました。
産業革命により、教育が市民にも普及し始めたことが影響しています。
教育は、産業革命前後で大きく変化しました。
産業革命前の教育は、宗教的・文化的伝統の継承や支配階級の子弟教育が中心でした。ヨーロッパでは修道院付属の学校で、キリスト教の教理や自由七科が教えられていました。その代わり、一般民衆への普及教育はほとんどありませんでした。
それぞれの家で躾をし、大きな子が家を継ぎ、弱ければ死んでいく。貧困や飢饉などの理由から、養うことが困難だったため、子供を売って現金を得る例がありました。
戦争の際に、敵対する集団から子供を拉致し、奴隷として売買することもありました。
アフリカでは、部族間の抗争で捕虜になった者を奴隷として売買する習慣がありました。ヨーロッパ人がアフリカに進出し、これらの奴隷を買い付けて新大陸に連れて行きました。
一般に、産業革命以前の社会は現金収入が乏しく、子供を労働力として活用する必要があったため、子供の売買が一部で行われていたと考えられています。
産業革命後産業化に伴い、識字率の向上と技術者、労働者の養成が求められるようになりました。
義務教育制度が導入され、初等教育が普及。中等・高等教育機関も増設され、実用的な知識や技術教育が重視されるようになりました。産業革命による経済発展と近代化の進展により、子供売り買いが徐々に廃れていきました。
日本でも明治維新後、諸外国に負けないために富国強兵や産業振興の道へ進むべく学制が整備され、西欧の教育制度が取り入れられました。
子供に服従心と団結心を与えるために、全員に同じ考えや価値観を与えていきます。それまでは、国の領主からの命令を聞いていればよかったのですが、維新後は偉い人を自分たちから出すことになりました。
政治家、官僚、財界、産業人、軍人、知識層。
六つのエリート層が社会に生まれ、国民を豊かに平均化し、レベルを上げていきます。国民教育、全体主義といいます。
それでも、教育の機会は依然として階層間の格差が大きく、労働者階級の子弟の就学率は低い状況が続き、貧富の差が生まれます。
中流階級以下の人々は、気の合ったもの同士で結婚。
一方、中流階級以上の社会では、親に決められた相手との見合い婚が主流。女性は財産であり、交換や贈与の対象として扱われていました。
恋愛は、そんな女性にとっては理想的な考え方でした。
◆昭和
戦後、全体主義を否定し、市民教育がはじまります。
偉い人のいうことを聞くのではなく、個性を使って稼ぐ時代に入ります。ただし、競争が発生してしまいます。幸せになる豊富尾を自分で見つけて競争に勝ち上がっていく社会です。
競争とは、個性を生かした戦略で戦うことであり、だれもが社長や政治家になれることを意味します。
高度経済成長期の中、恋愛結婚の数がお見合い結婚の数を上回ります。一九六〇年代以降、フェミニズム台頭により、男女平等や女性の自立が重視されるようになっていきます。
携帯電話やインターネットがなかったこともあり、好きな人とコンタクトをとるために積極的な姿勢が多く見られました。
また、恋愛に情熱的な人が現在よりも多かった。
未婚化は一九七〇年代半ばに始まります。
女性の未婚化は、一九八〇年代後半から二〇〇〇年代初頭にかけて急速に進みはじめます。
女性の高等教育の進展や就業機会の増加、見合い結婚の衰退と恋愛結婚増加といった結婚観が変化しはじめました。
異性交際が必要になった時代となっても、二十代の未婚者の異性
交際は活発化せず、衰退傾向となります。
「見合い結婚」と「職場での出会いを通じた結婚」という従来型の結婚の二大経路が衰退した一方、これらとは異なった「出会いのきっかけ」を通じた結婚の増加が起きなかったのです。
しかも、未婚者の交際行動が活発化することもなかったため、夫婦だけでなくカップル自体が形成されなかったのが、二十世紀中盤以降の日本の未婚化の実態です。
◆平成
一九八五年に、男女雇用均等法が成立。
一九九〇年から二〇〇〇年にかけて、自立した恋愛関係が言われることが増えます。「年の差婚」、「国際結婚」など、年齢・国籍・性別等を気にせずに自由に恋愛を楽しめるようになりました。
また、二〇〇〇年代半ばから女性の、結婚しない恋愛方法や独り身を貫く方法も多くみられるようになります。
結婚に至る異性交際が必須となった時代において、交際は活発化しておらず、性交渉経験率が低下傾向にあります。
未婚化が進んだとしても、法律婚を伴わない新たな形でのパートナーシップ形成が行われると予想されたが、結婚だけでなく異性とのパートナーシップ形成自体から撤退していきます。
バブル以後、インターネットの普及とともに、市民教育を不定する友愛教育、フラタニティ教育がはじまります。
優秀であればあるほど、上昇傾向に至らず、水平方向の人とのつながりを重視するようになりました。
生まれたときからネット環境、スマホがあるつながり世代は、スマホ以外は、互いにシェアすればいいとする考えも生まれます。
世界の経済による貧しさ、差がなくなってきている中、ITで単純化して新しいビジネスを生んでいる時代。人口や資源の限界、経済の停滞、縮小と現状維持する世界。競争で自分をすり減らしたくない、消費するよりっすて嬲る、奪い合って誰かが豊かになるのではなく、分け与えてみんなで豊かになっていくしかない「分配と共生」という考えがリア充層に増えていきます。
また、アイドルが社会資本となっていきます。声優やグループ化するアイドルは恋愛禁止、もしくは隠す風潮が生まれるのは、カワイイやイケメンを優遇してあげているかわりに、人権の一部を剥奪し、恋愛するなという考えがあるから。
その結果、資本である美しい人がリーダーとなっていく。ファッションリーダーのようにみんなを先導していく、見た目至上主義となっていきます。
二〇一〇年代では若者の間で、恋人や結婚相手に「自立している」ことを重視するようになる(自立とは経済的側面だけでなく、「精神的な自立」つまり相手に依存しない関係を求める傾向)。
恋愛結婚が望ましい価値観となり、結婚や出産など将来ビジョンを持てなくなったことも大きな要因となっています。
結婚相手の条件では、男性は女性の経済力を重視または考慮するようになり、女性は男性の家事・育児の能力や姿勢を重視する割合が大きく上昇。
バブル経済崩壊後、就職氷河期と呼ばれる景気後退や就職難があり、多くの若者が安定した収入を得ることが難しくなった。高い教育費や住宅費も足かせとなり、金融危機とリーマンショックは経済の不安定さを増大させました。
経済だけでなく、社会全体の価値観や生活環境の変化などが、未婚化の要因となっています。
◆令和
新しい思想についていけない人たちは、常に存在します。
国民教育の人たちに対して、市民教育の人たちが頑固親父、友愛教育の人たちが老害と呼ぶように、市民教育の人たちに対して友愛教育の人たちはマイルドヤンキーといい、逆ならリア充と呼んだり、前の世代の価値観や考えの人たちを否定します。
友愛教育の世代は、脱恋愛、脱家族、脱社会。彼氏彼女を作りません。ネットの評価、どれだけコミュニティー内で共感してもらえるのかを重視し、LINEから外されないことがモチベーションに繋がっています。
また、現代の若者はアイドル好きになっています。
テレビよりもネット視聴する十代にとって、Vtuberは人気の一つです。インスタグラムなどのSNSの中にもアイドル化した人は存在し、彼女彼らの持ち物や紹介するものに購買意欲を示します。アイドルがリーダーだからです。だからイケメンや美しい人を目指し、みんなにとって有用性をあげるか、単純に迷惑になれるかが大切となっています。
創作している人ならわかっていることですが、魅力とは「わかりやすい欠点」のことです。見た目と魅力を持つことで、アイドルになろうとしているのです。
二〇二〇年代に入っても、自立した恋愛関係が重視される傾向は継続している。マンガやアニメ作品などにも見られ、恋愛アニメ「かぐや様は告らせたい?」では、お互いに自立しながらも恋愛に臆する姿が描かれ人気を博す。
結婚相手には経済的自立だけでなく、精神的自立も求められる傾向にある。しかし、恋愛における外見的な「カッコよさ」も無視できない部分として残っています。
一方、自立した恋愛観に対する反動の声も出始めます。異性愛を否定し、女性同士の関係性のみを持ち上げる風潮に違和感を覚える意見もありました。
最近では、アイドルや芸能人、スポーツ選手、アニメや漫画のキャラクターなど、現実では恋愛関係になることが難しい存在に対して、ファン(推し)関係を超えて、真剣に恋愛感情を抱く「ガチ恋」や、そんな対象相手に恋人として付き合うことや結婚することを本気で望む恋心「リアコ」といった恋愛をする人もいます。
コロナ以降、社会全体が清潔感を求めるホワイト化へ移行しつつあるため、恋愛観にも影響を与えていると考えられます。
不倫が明るみにされたり、パパ活や立ちんぼ行為の摘発されたり、セクハラをしていた市長が退職し、政治家の裏金発覚も、ホワイト化する流れの一環です。
Z世代は、恋愛を人生において必須のものとは捉えておらず、友人関係や趣味と同等に、楽しむものの一つと考えている傾向にあります。恋愛は人生の目標ではなく、自分らしい幸せを優先する価値観が強まっています。
結婚も人生のゴールじゃなくていいとし、約三割の若者が子どもはいらないと考えており、キャリアや自分らしい幸せを優先する傾向があります。
出会いの場所としてSNSが使われ、マッチングアプリよりもインスタグラムが注目されています。Z世代の約五人に一人が、インスタグラムから恋愛がスタートした経験があります。投稿から相手の趣味や価値観をうかがい、自然な形で距離を縮めています。
自己同一性が高く、アイデンティティが確立している人ほど恋愛離れしている傾向があります。また、交際費用を控えめにし、趣味にお金を使う傾向も恋愛離れの一因とされています。
現代の若者は、恋愛や結婚を選択肢の一つと捉えながら、自分の価値観に基づいて柔軟に対応する傾向がみられます。
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