サポ限にかいていたこと45 感動させよう・2

◆感動させるには


 話を戻します。

 相手を感動させるには、どうすればいいのか。

 人の脳には三つの壁があります。

 この壁を超えることで、感動を与えられます。


 一つめは「認知の壁」です。

 わからなかったことがわかると、人は感動します。

 話をきいて「あー、なるほどね」と腑に落ちる感覚を体験したことがあるでしょう。


 二つめは「私事の壁」です。

 示された内容が自分にも関係があるとわかることです。

 食べ過ぎや運動不足は肥満の原因だし、健康診断で数値が悪かった場合は気になるものです。物価高騰のニュースに敏感になるのも、自分の生活に関わってくる内容だからです。


 三つ目は「獲得の壁」です。

 自分でもできると思えることです。

 成功者みたいに上手くいかないと思っても、ゴミ拾いや机の上を片付けるといった簡単なことだったなら、自分にもできるかもしれないと思えてやってみようとなるでしょう。


 知識欲や好奇心がくすぐられて、登場人物の体験が自分ごとだと思え、自分でも同じことができるかもしれないと思えるように落とし込んでいかなければ感動できないのです。



◆感動させる型

 人が感動してしまう話には、少なくとも三つの型があります。

 型を利用してお話を作ればいいのです。


 一つめは、シンデレラプロットです。

「マイナスからスタート→失敗の連続→出会いと学び→小さな成功→大きな成功」の流れです。

 マイナスからはじまることでギャップが生まれます。

 いきなり成功してハッピーになるのはつまらないので、上手くいかないことを前半でみせる必要があります。


 二つめは、読者の涙を誘う型です。

「苦しい状況→さらに苦しい状況→願望→少し明るくなる→駄目になる」という流れです。

 途中、希望が見えないと読み手は読み進められません。苦しい状況から脱したら、一緒に遊ぶとか何処かへ行くとか、願いを抱いてから良い状況に好転したと持ち上げて、突き落とす落差が必要です。


 三つめは、謎解きのワクワクを抱かせる型です。

「奇妙な出来事→推測その一→推測その二→推測その三→答え」の流れです。

 なぞなぞのような問題を出し、推論を三つ用意します。最後に意外な答えを持ってくることが大事にです。



◆感情移入


 出来事を順番に並べるだけでは、深い感動はしません。

 お話に感情移入させる必要があります。

 そのためには四つのポイントがあります。


 一つは、ストーリーにすることです。

 キャラクターの成長やどんでん返しがおきる起承転結、序破急、三部構成といった流れであるのが望ましい。

 二つめは、具体的な場面を描くことです。

 情報量や状況の空気感、5W1Hはもちろん、読み手が想像できる細部が刺さるほど具体的であることが大切です。

 三つめは、主人公の心の声を入れるです。

 セリフに楽しいや嬉しい、つらいや苦しいといった感情の言葉を入れます。

 四つめは、表情や声のトーンを入れます。

 嬉しいならどんな表情で、どんな声だったのか。つらいならどんな顔で、そんな声を出していたのか。

 楽しい嬉しい悲しい苦しいといった形容詞で表現するのではなく、態度や表情、高い声なのか低い声なのか、聞き取りやすいのか聞きにくいのかといった具体的な表現します。

 唐突なおどろきによるギャップも盛り込むと良いです。


 さらに付け加えると、主人公の強い想いがクライマックスで激しく描かれるから、読み手の胸を打つのです。

 ここでの感情と思いは、違います。

 主人公の感情が現れるように泣かす必要はありません。

 もちろん泣いてもかまわないのですが、作者が目指すべきは主人公を泣かすことではなく、読者を泣かすことです。

 涙を流さず、無表情でもかまいません。

 鼻水を垂らしていようが、ブサイクな顔で喚き散らそうが。

 どんなにかっこ悪くても良いから、なんとしてでもやり遂げなくてはならない目的をもつ主人公が必要な行動と表情をみせることで、主人公の想いが伝わり、感動するのです。

 

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