サポ限に書いていたこと39 上手く書く方法・2

 真似を重要視するのはなぜか。

 自分がなりたい人を真似するのが、一番簡単で手軽な成功法だからです。

 だからといって、上手くいっている人の真似をしても同じように上手くはいきません。

 自分にとって、都合のいい部分しか真似をしないからです。

 なにより、成功している人にとっての成功法であって、真似をする人のためのものではないからです。つまり、ただ真似るのではなく自分のものにする必要があるのです。

 


 事故で、今の私が目覚める以前の記憶はありません。

 横目でみながら真似をして、ひたすら反復練習。

 真似のくり返しです。

 はじめてテレビをみたとき、CMに番組に出演している人がでてきて、違う服装をしていました。番組に戻ると服がまた変わっていました。

 この人は早く着替えているんだ、すごいなと思ったものです。

 ……それはともかく。

 番組の選択権が私にはなかったです。

 べつに、みたいとも思ってなかったです。

 だから、親が視聴するドラマを一緒によく見ていました。

 誰が出演し、どんな話で、主題歌は誰でと、そういうことに興味を持たれるのだと思います。

 俳優は知らないし、アイドルもわからない。

 一切興味がもてませんでした。

 ただ、ドラマをみていると、刑事ものや時代劇、ヒューマンドラマなど、どれも同じことをしているのが不思議でした。

 前半は、なにかしら事件やらトラブルが起きては巻き込まれ、番組中頃で逆転のヒントを掴み、後半は積極的に行動して、次々といろいろなことが起きて、ラストを迎えるのです。

 過去の秘密を抱えていたり、協力してくれる人が次々代わりながら成長していったり、以前は仲が良かったのに別れてしまい、でも大切だと知ってよりを戻すなど、主人公によって型の違いはあれども、基本はどのドラマも同じ。

 それを確かめるのを楽しみに、みてました。

 ドラマに原作があると知ると、原作もおなじ型でできているのか確かめるために、図書館に足を運んでは良く読んでいました。


 

 それはともかく、次にお話作りの参考文献として選んだのが、『ロマンアルバム・ふしぎの海のナディア』でした。

 NHKを見ることを許されていたので、視聴できたアニメ作品でした。

 ナディアという作品は、元々NHK側が、ラピュタみたいなアニメを作ろうと企画を出したのがはじまりです。

 さすがにラピュタっぽいものを作るわけにはいけないので、いかにしてNHKの要望を聞きつつ、タイムボカンの三悪人みたいに置き換えるなど工夫して作っていったのか、庵野さんのインタビュー記事で語られていました。

 そんなことよりも興味深かったのは、作品作りのために自分たちが好きなものをいろいろと取り入れること、お話を作る前には各話のサブタイトルを付けた、どんな話をするのかを具体的に書かれたシノプシス(あらすじ)を作ることでした。

 これらを読んだとき、お話作りにはまず、初めにどんな内容の話を全何話で作るのかを決め、どの話数で盛りあがったりピンチになったりするのか、先に展開を考えて組み立てる、と学びました。


 

 また、ガイナックスでは、お話を作る際にカウンセリングをしていたそうです。

「何を作りたいのか」「何が疑問なのか」「何を作るべきなのか」などカウンセリング的問答をくり返し、答えを引き出すという方法です。

 お話作りをするとき、最初にすべきことだと学んだので、自分が作るときに、カウンセリング的手法を取り入れることにしました。



 庵野さんはオマージュの人です。

 当時は「パロディ」という言葉が使われていました。

 自分の好きなものを作品に取り入れることで受肉させ、自分の魂を込めて作品を作るそうです。

 発掘戦艦が登場するシーンは、宇宙戦艦ヤマトが登場するシーンそのままだし、主砲の発射音もわざわざ借りてきて使われていました。翼をたたんで空を飛んでいくシーンは、サンダーバードの五号だったそうです。

 アフリカを舞台にしたけど、人種問題を扱うのは難しいからとナディアを宇宙人にしたり、庵野さんが魚嫌いだから海洋作品なのに極力魚を描かないようにしたり。

 作品を作るときには、自分が書きたいもの、書けないもの、書きたくないものをわけることを学びました。

 結果を先に考え、それに向かって作る帰納法ではなく、書きたいシーンから考えていく演繹法で作る人だそうです。

 そんな庵野さんの考えを真似し、先に描きたいシーンを描き、そうなるにはどう辻褄を合わせればいいのかを考えた実験漫画を大学ノート一冊に描くことにします。

 描きたいシーンで作った話は、自分が面白いと思った場面でできています。

 だから、たしかに面白い。

 けれども、全体を通してみると、物語は支離滅裂で、お祭り騒ぎをしてはしゃいでるだけにしか思えませんでした。

 この経験から、車の両輪のように演繹法と帰納法、どちらも必要だと思いました。

 演繹法でイラストを作ってキャラ作りをし、帰納法でお話全体を考え、両方を組み合わせる。

 このやり方ならうまくまとまるのでは、と思い、試しに作ることにしました。

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